4/10(水) 6:12 文春オンライン
■「君たち」は宮﨑駿の「黙示録」
本作の作画監督を務めたアニメーターの本田雄氏(56)がアカデミー賞受賞後初めて月刊「 文藝春秋 」の取材に応じ、映画賞総なめの舞台裏を語った。
「(アカデミー賞発表の)あの日は普段通り、午前11時くらいに出社して、お昼過ぎには宮﨑さんも来ていました。目が合うと、こちらにやって来て『おめでとう』って言うんです。いやいや、あなたでしょ、って感じで(笑)。『こちらこそおめでとうございます』と返しましたよ。内心喜んでいるとは思うんですが、あまり表情には出していませんでしたね。いつもと変わらない様子で、パノラマボックス(絵の描かれた板を重ねて作る展示物)のための絵を描いていました」(※中略)
でも、正直に言うと、『君たち』がアメリカでウケたり、よもやアカデミー賞を獲れるなんて、僕は夢にも思っていなかった。アメリカでは『アニメは子供のもの』ですからね。『君たち』のように複雑な世界観の作品は違うんだろうなと。
僕はディズニー&ピクサーの『マイ・エレメント』が本命だろうと思っていたんですよ(笑)。あれは面白かった。アニー賞でロスに向かう飛行機の中で観たのですが、『やっぱりピクサーは外さないなあ』と」
本田氏は2月、ロサンゼルスで開催されたアニー賞の授賞式に出席し、キャラクターアニメーション賞受賞のスピーチを行ったが、元来「大勢の人の前で喋るのは苦手なんです」という。
「いやもう、受賞スピーチというのが憂鬱でしょうがなかったんです。他の作品が獲ってくれたらいいな、ぐらいに思っていましたから。スピーチの原稿はジブリの誰かが何か考えてくれるのかなと思ったら、そんなこともなくて(笑)。授賞式前のパーティでワインを飲んで誤魔化したりして。
で、授賞式が始まってみたら、みんなスピーチが上手いんですよ! 英語だから何を言ってるのかさっぱりわからないんだけども、次々と現れる登壇者が客席を沸かせている。『ウケをとらなきゃ恰好がつかないかな? えらいところに来てしまったなあ』と。
■「本田さん! 獲りましたよ」「え? やばいやばい!」
ところが、時間が経つにつれて、さっき飲んだワインの酔いが回ってきて、英語もよくわからず、ずっと座っていたもんだから、少し眠たくなってきてね(笑)。
しばらくウトウトしていたら、急にスポットライトがバーン! と僕に当たったんです。眩しくて起きたんですが、わけもわからずボーッとしていると、『本田さん! 本田さん! 獲りましたよ』って近くに座っていた同僚が声をかけてくれて。『え? やばいやばい!』と。そこからどうやって壇上に上がったのか。誰かに案内されたような気がしますが……あまり覚えていません。今振り返ってみても、あれは人生最大のピンチだったと思います(笑)」
(※以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。)
「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2024年5月号
「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2024年5月号
引用元: ・【文春】「授賞式は人生最大のピンチだった」アカデミー賞受賞『君たちはどう生きるか』作画監督が初めて語った映画賞総なめの舞台裏 [湛然★]
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