米国心臓協会(AHA)の生活習慣科学セッション(EPI-Lifestyle 2024、3月18~21日、シカゴ)で発表した。
時間制限食は、1日の中で4~12時間程度に制限した時間枠内であれば、カロリーを気にせず食事を取ってよいとする食事スタイル。
その手軽さから人気が高まっており、また短期的には心血管代謝マーカーを改善するという報告もある。
ただし、死亡というハードエンドポイントで評価した長期的な研究はなされていない。Zhong氏らは、2003~2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを利用してこの点を検討した。
24時間思い出し法による食事調査を2回受けて、2回とも標準的な食事摂取量だった20歳以上の成人2万78人(加重平均年齢48.5±0.3歳、男性50.0%)を中央値8.0年(四分位範囲4.2~11.8)追跡したところ、心血管死840人、がん死643人を含む全死亡2,797人が記録されていた。
1日の中で食事摂取の時間枠が12~16時間である群(全体の58.9%)に比べて、8時間未満の群(同2.1%)は心血管死リスクが約9割高かった〔ハザード比(HR)1.91(95%信頼区間1.20~3.03)〕。全死亡リスクやがん死リスクは有意差がなかった。
ベースライン時点で心血管疾患の既往のあるサブグループ(8.2%)で比較した場合、食事摂取時間枠が8時間未満の群は12~16時間の群に比べて、心血管死リスクが2倍を超え〔HR2.07(同1.14~3.78)〕、また時間枠が8~10時間の群も6割以上ハイリスクだった〔HR1.66(1.03~2.67)〕。
研究者らは、「この結果には驚かされた。これまで時間制限食は、血圧や血糖値、コレステロール値などの、心臓の健康状態に関連する指標を改善する可能性が示されていたが、それらの研究とは正反対の結果である」と語っている。またZhong氏は、「食事時間枠を設けることと心血管死のリスク増加との関連性を認識することが極めて重要だ」とし、「われわれの研究結果は、人々に対する食事スタイルの推奨に際しては、より慎重かつ個人の健康状態や最新の科学的エビデンスに一致する、個別化されたアプローチを採用すべきであることを強調している」と付け加えている。
今回の研究では、食事摂取時間枠が12~16時間よりも短い場合、全死亡、心血管死、がん死のいずれについても、死亡リスクの低下は認められなかった。
ただしZhong氏は、「この研究は、時間制限食と死亡リスクとの因果関係を証明可能なデザインでは行われていない。
時間制限食が健康へ悪影響を及ぼす可能性と、その理由のより深い理解のため、さらなる研究が必要だ」と述べている。
引用元: ・【上海交通大学大学院研究】食事摂取時間枠を8時間未満に限定している人は、心血管死リスクがほぼ2倍に上る
そんなのオッパッピー
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