モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(172)
折々にみせた胆力と包容力
平成30年7月20日付の本欄にこんなことを書いた。
「ひさしぶりに胆力のある政治家を目にした気がした。執行後の記者会見でも冷静に必要最小限のことのみを端的に答えた。
政策通を気取る政治家や揚げ足取りの得意な政治屋は掃いて捨てるほどいる。しかし、胆力を感じさせる政治家はほとんど
いないのがわが国の政界である。上川氏のホームページには『腰のすわった政治をめざす』『難問から、逃げない』とあった。
この言葉にウソはない。私の中では、ポストの第一候補に上川氏が急浮上した」
オウム真理教の元教祖、麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚ら7人の死刑を当時、法相だった上川陽子さん(現外相)が粛々と
執行したことを受けて書いたものだ。そこで引用したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《あの残酷の標本ともいうべきネロまでが、或る日、例のように家来から、一人の罪人の死刑の宣告に署名をしてくれと言われると、
「おお字などを学ばなければよかった!」と嘆息したとは。
それほどまでに、人ただ一人を死刑に処することが、彼の心を悲しませたとは》(第2巻第1章「我々の行為の定めなさについて」関根秀雄訳)
このエピソードは、「法の正義」を貫徹する場合であっても、人の命を奪う決断がどれほどの重圧を伴うかを物語っている。
上川さんはその重圧に堪え、さらに自分だけでなく、家族もオウム真理教の残党に命を狙われる可能性を受け入れて命令書に
署名押印した。死刑の是非論を超えて、私は心を揺さぶられたのだ。
このコラムが掲載された日、私が以前から一目置いていた産経新聞の政治記者から、「昼飯でも食いませんか」と誘われた。
もちろん喜んで応じた。永田町をよく知るベテラン記者が、どのような感想を持ったのか、ぜひ聞いてみたかったからだ。
果たして、素人の私が政治記者の領分を荒らしたことを、彼はまったく気にすることなく、「面白く読みました。彼女はその力量
がある政治家だと私も思います。ただ現段階では、平時の首相としてなら、ありかもしれない、というところです」と、にこやかに語った。
怒られると覚悟して先生の前に行ったら、逆に褒められてしまった小学生のように私は胸をなでおろし、同時に、胸の中に
「上川陽子首相待望論」の灯が確かにともった。
首相になるには、通常はどろどろした権力闘争を勝ち抜くことが求められる。しかしこうした闘争とは無縁に、自民党が上川さんに
頼らざるを得ない局面が近い将来、必ずややってくるに違いない、との不思議な確信があった。(以下略)
産経新聞 桑原 聡2024/3/16 11:00
https://www.sankei.com/article/20240316-WXKKH5K3WVIRJEYJ5456LXAUMY/
-------------------------------------
!jien =お知らせ=
【アク禁依頼・解除】は「政経雑談スレ」に連絡を入れて下さい。
*侮蔑語・煽り・スレと関係ないレスバトル・レッテル貼り連呼・下品な発言
・不快なaa・会話不能などが、アク禁対象です。
(アク禁依頼・解除はレス番で!!)
*アク禁理由も添えてくださいませ!!
-------------------------------------
引用元: ・【産経新聞】桑原 聡「自民党が上川さんに頼らざるを得ない局面が近い将来、必ずややってくるに違いない。ひとりの日本人として、私は上川首相の誕生を切望している[R6/3/18]
コメント