三重県鈴鹿市や京都市左京区で運用されていた独自の審査で、「申請者に屈辱感(スティグマ)を与える行為」などの批判が相次ぎ、対応が見直された。
それでも、いまだにこの審査を続ける自治体がある。【渋谷雅也】
生活保護を受けられるのは、収入が地域によって異なる基準額(東京23区に住む50代の単身者なら、住宅費と冬季加算を除いて月7万7240円)より低い場合だ。
資産や能力を活用し、仕送りできる人がいれば頼ってもらう。利用が可能な他の制度があれば優先し、それでも生活が苦しい場合に限る。
収入、不動産の保有状況、預貯金額、職業、健康状態……。親や子ども、兄弟や姉妹の援助は受けられないか。年金や手当を受給していないか。
自治体の担当職員には、こういった観点で申請者が条件に該当するかについて調べる権限がある。
ここで、鈴鹿市は独自の審査をしていた。
申請者に対し、窓口で用意した箱に、当日記帳した預貯金通帳や身元を示す書類とともに、財布内の硬貨を含む現金を全て出すよう求めていた。昨年8月、共同通信の報道で判明。少なくとも5年以上前から行われていた。
翌月には、京都市左京区でも同じようなケースが発覚した。
「申請を抑止する方法」
保護申請時に持っている預貯金や所持金などは「手持ち金」と呼ばれる。家賃や光熱費など1カ月当たり最低限必要な生活費の5割を超えていれば、初回に支給する保護費から差し引かれる。
こうした決まりから、鈴鹿市は当初、「正確な支給のために必要だ」と主張した。
ただ、生活保護法には財布の中まで調べる規定がない。
さらに、財布の中身を調べても現金をたんす預金にしたり、故意に隠したりすれば捕捉できないため、多くの自治体は申請者に対して、自己申告で書類への記入を要請。職員は複数の金融機関への照会もする。
花園大の吉永純教授(公的扶助論)は独自の審査について、「心理的プレッシャーで生活保護の申請を抑止する方法だ」と指摘する。(略)
一方で厚生労働省保護課は、財布の中身を調べる独自審査について「自治体の判断」とし、適切か不適切かの指針を示していない。(略)(以下有料版で。 残り1621文字)。
毎日新聞 2026/1/20 05:00(最終更新 1/20 05:00)
https://mainichi.jp/articles/20260118/k00/00m/040/200000c
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