https://www.yomiuri.co.jp/national/20260115-GYT1T00068/
マレーシアに拠点を置く日本向けの特殊詐欺グループが、電話の「かけ子」の顔をニセの警察手帳の写真に置き換えるビデオ通話システムを使っていたことが、両国の警察関係者への取材でわかった。AI(人工知能)を用いた「リアルタイムディープフェイク」と呼ばれるもので、警察当局は海外の「匿名・流動型犯罪グループ( 匿流トクリュウ )」が他の詐欺拠点でも利用しているとみて警戒している。
「かけ子」の顔をニセ警察官に変換するシステムのイメージ
海外から発信される「ニセ警察詐欺」の被害が急増するなか、詐欺グループがAIを悪用したシステムで巧妙に身元を隠している実態が明らかになった。
捜査関係者によると、マレーシア警察は昨年8月、首都・クアラルンプールの高級住宅街にある一戸建ての詐欺拠点を摘発した。住宅は周囲が高い塀で覆われ、室内には警視庁や大阪府警を装うニセの警察手帳や制服があったほか、デスクトップ型のパソコンが置かれていた。台湾人をトップとする組織が拠点を管理しており、拘束されたメンバーには日本人4人も含まれていた。
詐欺グループの手口を確認するため、地元当局がパソコンを調べたところ、警察官役でビデオ通話する人物の顔が、ニセの警察手帳の写真の顔に置き換わるシステムが構築されていたことがわかったという。
ウェブ用カメラで撮影した画像の品質をAIで向上させ、相手の画面に表示させているとみられる。
マレーシアでは別の詐欺拠点でも同様のシステムが悪用され、ビデオ通話中のかけ子の顔に口ひげを生やしたり、制服を着用したりしているように偽装する技術が確認されている。
大阪府警は昨年10月、クアラルンプールの拠点で拘束された20~30歳代の男4人を詐欺容疑で逮捕した。容疑は警察官を装うなどして、群馬県内の80歳代女性に「詐欺に関与している疑いがある」「潔白を証明するには口座の資金を調べる必要がある」とうそを言い、現金50万円を振り込ませたというものだった。
4人は「高収入」などとうたうインターネット広告に応募。「海外で20万円くらい稼げる」などと言われてマレーシアに渡航し、拠点では上役に監視されながら、ニセ警察詐欺の電話を繰り返していたという。
日本の警察関係者によると、かけ子らの顔をAIを用いて別人の画像に変換する手口は、日本向けに特殊詐欺が行われていたカンボジア北西部ポイペトの拠点や、ミャンマー東部のタイ国境近くに点在する拠点でも悪用されていた。
ミャンマーの拠点に滞在した人物が日本の警察に説明した話によれば、現地ではかけ子らにタブレット端末が配布される。その画面のスタートボタンを押すと、端末内の名簿をもとに自動的に電話が発信され、接続先の「住所」「氏名」が画面上に表示された。
この拠点には、ニセ警察詐欺に使う専用のブースがあり、設置されたパソコンに搭載されたディープフェイク技術で、警察官になりすましていたという。
引用元: ・「かけ子」の顔、ビデオ通話で「ニセ警察官」に…海外拠点の詐欺グループで「ディープフェイク」横行か [582792952]
「だましの文言」AIが下書き
国連薬物犯罪事務所(本部・ウィーン)の資料によると、詐欺の実行は自動化が進み、1分間に数千件のメッセージを送るシステムもある。犯罪組織は標的の国の言語を 流暢りゅうちょう に扱える人材を集め、AIに作らせただましの文言が不自然でないかチェックさせるなど、効率化を図っている。
日本国内の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は昨年1~11月、過去最悪の約2763億9000万円(暫定値)に上った。「+」で始まる国際電話番号からの発信による被害が目立つ。
国際的な犯罪組織は東南アジアを中心に詐欺拠点を拡大させている。手口は次々と変化することから、警察当局の国際連携の強化が欠かせず、日本の警察幹部は「日本の捜査で判明した内容を各国当局にも共有し、海外の詐欺拠点の摘発につなげていく」と話す。
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