目下、米国は日本と同様の危機的な物価高に苦しんでいる。トランプ関税で、輸入に頼る食料品や日用品の価格が軒並み高騰したのだ。そんな中、米国民の不満は思わぬ形で噴出した。
在米ジャーナリストいわく、
「米国では万引きが社会問題化しています。大手金融サービス会社の最新調査では、スーパーなどでセルフレジを利用した顧客の約3割が“代金を支払わなかった”と回答しています」
■共和党大敗は必至
こうした世相を反映して、今やトランプ政権の支持率は低迷しているのだ。
「今度の中間選挙では、トランプ氏を支える共和党が、少なくとも下院で多数派を失う可能性が高いですね」
と話すのは、現代アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授である。
「米国では大統領選がない年の中間選挙は、現職大統領の政党が議席を減らすという“法則”があります。事実、22年のバイデン政権下では民主党が下院7議席減、18年のトランプ政権下では共和党が36議席減で大敗を喫しました」
中間選挙は時の大統領への不満が噴出しやすく、オバマ政権までたどれば、現職大統領の政党は平均して30議席前後を失っている。
もはや前述した経済状況を加味すれば共和党大敗は必至。それを防ごうと功を急ぐトランプ氏は、持論の「アメリカファースト」の姿勢を、より一層鮮明にしていくというのだ。
■財政負担がさらに
日本への影響が懸念されるのは、26年にトランプ氏が中国の習近平国家主席(72)と、少なくとも4回の米中首脳会談を予定していることである。
再び前嶋氏に聞くと、
「まず4月にトランプ氏が訪中して、秋には習氏が訪米。さらにG20などでも両者の会談が見込まれています。一方の日本は、日中はおろか日米でも首脳会談の見通しすら立っていない。この差は非常に大きいといわざるを得ません」
中国とのディール成立で成果を米国民にアピールしたいトランプ氏と、日米同盟にくさびを打ち込みたい習氏。両者の利害が一致すれば、日本は蚊帳の外に置かれる。
「中国はレアアースを握っている上、アップルをはじめ米国の有力企業の生産拠点になっています。そこに関税をかければ最終的に苦しむのは米国民。最近トランプ氏は、中国に関税をかけてもねじ伏せることができないと理解し始めた。G2として交渉し正面衝突を避けようとしています」(同)
そこで気になるのはトランプ氏の日本への態度だ。
「米国は日本を含む東アジア、より正確に言えば東半球から徐々に手を引いていく。同盟国にも“あとは自分たちでやってほしい”という姿勢を強めています。その象徴が防衛費。かつてトランプ氏は台湾に“GDP比10%を防衛費にせよ”と要求し、台湾自身が現実的な水準として、GDP比5%を充てるとしています。今後同様の圧力が日韓にもかかってくると思います」(同)
それを見越して、日本でも防衛増税の議論が盛んに交わされるようになっているのは、ご存じの通りだ。
「台湾問題の関与に及び腰のトランプ氏は、同盟維持を理由に在日米軍に関し日本側へさらなる財政負担を強いてくることもあり得ます。もはや米国が中国を抑え込んでくれるという前提が揺らぎ始めた今、これまで自明だった日米安保の在り方を再考すべき状況にまで追い込まれています。安全保障において全面的に米国に頼るのではなく、もっと防衛に関する議論を活発にしていく必要があります」(同)
米中の狭間で苦境に立つ日本は、確固たる姿勢を求められる年となりそうだ。
「週刊新潮」2026年1月1・8日号 掲載
1/13(火) 5:55 デイリー新潮
https://news.yahoo.co.jp/articles/be659368f0f2a1dd2e6167124d0b1b7dcd179cc3
引用元: ・【新潮】アメリカは中国から日本を守ってくれるのか…東半球から徐々に手を引いていく 日米安保を再構築する必要 [1/13] [ばーど★]
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