中国人客伸び率減速、キャンセル相次ぎ宿泊料金ダウン…百貨店は免税売上高1割減
中国政府の渡航自粛要請により、11月の訪日中国人客数の伸び率は大きく鈍化した。観光地のホテルでは宿泊のキャンセルが相次ぎ、百貨店では売り上げ減少といった影響も出ている。年明けには中国の春節(旧正月)も控えており、観光関係者からは不安の声が上がっている。(仁木翔大、石川泰平)
「春節まで続くのか」
「中国人のキャンセルが相次いでいる。宿泊料金を下げたのは久しぶりだ」。京都市中京区のホテルの支配人は17日、宿泊料金を前年同月より1割程度下げたことを明らかにした。
京都市内では2024年以降、新型コロナ禍後の旅行需要の回復や大阪・関西万博の開催もあり、宿泊料金は上昇が続いていた。しかし、現在は中国人客の需要の減少により、料金を下げざるを得ない状況に陥っている。支配人は「春節の連休まで続けば、影響はより大きくなる」と話す。
25年1~11月の国・地域別の訪日客数では、中国と香港の合計が全体の28%を占めた。この間の訪日中国人客数は37・5%増と大きく増えた。しかし、11月のみでは3・0%増と伸びは大きく鈍化した。現在も航空便の減便やクルーズ船の寄港取りやめといった影響が続き、先行きは不透明な状況が続く。
訪日中国人客の減少は、小売業界にも影響する。
高島屋では、12月1~14日の免税売上高が前年同期比9・8%減となった。特に中国人客は23・9%減と大きく落ち込んでいる。中国人客は、免税売上高の4割超を占め、業績に与える影響は大きい。
日中関係の悪化を受け、そごう・西武は先月から、中国で出稿していた広告を東南アジアや欧米に振り向ける対応を取っている。
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