佐賀市の保健福祉会館で11月中旬、今年度5歳になる市内の子どもを対象にした健診が行われた。「いくつになったかな?」。保健師の問いかけに、子どもたちは「5歳!」と元気よく答えていた。
20分ほどの健診では、小児科医や保健師、保育士らが身体測定や生活状況の聞き取りのほか、「質問に正しく返答する」「同じポーズをとる」「じゃんけんで勝ち負けがわかる」といった点も見て、自閉症などの発達障害の可能性があるかをチェックした。この日は約70人が参加し、長男に付き添った会社員男性(57)は、「健康に育っていると確認してもらい、安心した」と話した。
市は5歳児健診を今年5月に県内市町で初めて実施した。就学時健診より前に心身の問題を見つける目的で、市こども健康課の馬郡(まごおり)裕子課長は、「子どもの特性を早く見極められるようになった」と効果を語った。
◼入学準備に利点
こども家庭庁によると、5歳は言語の理解能力や社会性が備わる年齢という。言語、精神の発達の遅れや障害が判断できるようになるため、健診には、子どもと家庭の早期支援、2年後の小学校入学の準備ができるメリットがある。1985年に川崎市が全国で初めて導入した。
2007年から5歳児健診を始めた大分県竹田市では、07~14年に1165人中計56人の発達障害がわかり、支援により38人は症状が改善し、普通学級に入学した。勉強に追いつけず不登校になる児童も実施前より減った。
効果があるものの、同庁調査では区市町村の実施率は22年度時点で14・1%にとどまっている。
理由には、1歳半と3歳、就学時の健診は法律により23区・市町村に実施が義務付けられ、国費が充てられるのに対し、5歳児健診は自治体の任意で行い、自主財源になることが大きい。同庁の聞き取りに、多くの自治体が人手や予算の確保を課題に挙げている。
実施低調のなか、少子化対策の世論の高まりを受け、23年4月発足の同庁が5歳児健診の普及に動いた。「28年度の全自治体実施」を目標に、23年度は自治体に対し、子ども1人あたり3000円を健診費として補助。今年度は発達障害を診断する医師の研修費補助も始めた。健診の効率化のため、複数自治体による合同実施も勧めている。
健診を行う自治体は徐々に増え、福岡県は22年度は3市町だったが、今年度は11市町に増えた。茨城県も今年度は9市町と昨年度(4市町)から倍増した。また、9区市町村が実施(昨年度末)している東京都は、医療機関との調整を行う職員の人件費を補助する独自制度で拡大を促している。
◼人繰りに課題
それでも、健診が全自治体に普及するかは不透明だ。山口県のある市は、「行いたいが医師の人繰りがつかず、いつ始められるかわからない」と明かす。
こども家庭庁は最終的に5歳児全てを健診対象にすることを目指すが、それもハードルは高そうだ。今年度、希望者約500人を対象に試行した福岡市は、全面実施のメドが立っていない。市内の5歳児は約1万3000人に上り、医師ら専門家の確保と、支援体制の構築が難しいという。担当者は「全員健診の実現には課題が多い」とした。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/9b34776665b5913e8e87d6c06cbdcc9a1d9d5805
[読売新聞]
2025/12/16(火) 10:09
引用元: ・【こども】「5歳児健診」広がる、“発達障害”を「就学時」より早期に発見… 3年後の全自治体実施目指すも医師確保が課題 [煮卵★]
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