上原浩治 元メジャーリーガー
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d95570095aba0d3e5ff5ec3abe3ae991c1f77163
プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)の方式に“メス”が入る可能性が出てきた。報道によれば、日本野球機構(NPB)と12球団による実行委員会がCS方式の見直しを議論し、早ければ来季から変更される可能性があるという。
今季の阪神が2位に13差をつけた圧倒的な強さでリーグ優勝を果たしたことが、議論の転機になったのではないだろう。NPBが「議論の段階」としたCSの在り方については、広く議論があっていいと思う。
そもそもCSには、本音と建て前があるだろう。つまり、「成績とお金」という2つの思惑が絡むことで、議論をややこしくしているように思う。
成績とはいうまでもなく、レギュラーシーズンの成績である。CSは、優勝の可能性がなくなったチームにも、3位までに入れば日本シリーズ進出の可能性が残ることで、「消化試合」を可能な限り減らすことができる。3位争いには多くの球団が絡むことができ、シーズンを最後まで盛り上がるのは事実だ。
これは観客動員数に影響し、実際、コロナ禍を除けば右肩上がりで推移している。CSの貢献度が大きいといえるだろう。
ただし、本来であれば長丁場のレギュラーシーズンを制したリーグ王者が日本シリーズに進出するほうが、ファンも納得する。惜しくも数ゲーム差で敗れた、今季の日本ハムのような場合には、リーグ王者とは別の扱いとして「日本シリーズに進出するチーム」をプレーオフで争うことに一定の理解は得られるだろうが、阪神のようにダントツの成績で優勝したチームがあると「CS不要論」が浮上する。
つまり、CSの問題点は、2位以下が首位に大差をつけられた場合にある。現行ルールでは、リーグ王者が、2、3位チームの勝者と戦うCSファイナルステージでは、1勝のアドバンテージがある。しかし、2位に大差をつけた場合の優勝チームには、1勝のアドバンテージで十分なのかという指摘だ。5差、10差と引き離された2位チーム、最悪の場合には勝率5割を下回った3位チームが短期決戦を制することで、日本シリーズに進出することの是非が問われているわけである。
見直し議論の中では、ゲーム差に応じてアドバンテージの勝利数をプラスするのがわかりやすいだろう。私も5差以上でプラス1勝がいいのではないかと思う。シーズンの最後までゲーム差を意識して戦うことで、優勝チームの「消化試合」もなくなる。
しかし、ここで一つの問題が生じる。アドバンテージの付与が増えると、CSのゲーム数が減少することである。
このため、見直しの議論でも、ゲーム差によってアドバンテージを2勝まで増やす場合、現行の「4勝制」を「5勝制」へ変更する案も挙がっているという。
ここに「お金」というもう一つの思惑が絡んでくる。つまり、CSの盛り上がりと試合開催が「お金」を生むという点だ。CSは開催する側の上位チームの収入が増える。観戦チケットはもちろん、球場内の飲食や限定グッズ、放映権などを得られるからだ。
それゆえに、レギュラーシーズンの成績が良いチームが日本シリーズに可能な限り、進出したほうがいいことはわかっていても、CSの試合数は減らしたくないという本音がある。日本シリーズが「4勝制」なのに、前段階のCSファイナルステージを突破するための勝利数のほうが上回るというのはおかしな話だ。それでも、アドバンテージを増やしたときに「お金」になるCSを1試合でも多く行いたいわけである。
せっかく、CSの見直し議論を行うのであれば、選手会の意見を聞いたり、ファンの声をアンケートなどで吸い上げたりすればいいと思う。
さらに言えば、CSは「お金」になる、日本の球団にとって“おいしい”ビジネスであり、儲かるから試合数を減らしたくないという本音を包み隠すことなく、明示したほうがいいと思う。国内のスター選手のメジャー流出が続く中、プロ野球がビジネスとして収益を上げていく上でCSはキラー・コンテンツなのだということをはっきりといえば、日本球界が儲かることを前提に、どうすれば盛り上がり、優勝チームのファンが納得できるかということを考えた議論が深まるのではないだろうか。
球団もファンも納得できる形で決着を生むには、本音を言わないと始まらないだろう。
引用元: ・【上原浩治】プロ野球のクライマックスシリーズはお金になる! 本音を明かさないと制度見直しの議論は深まらない [鉄チーズ烏★]
CF型ふるさと納税返礼品の遠藤航選手スパイク、申し込みゼロ 横浜市戸塚区「申し訳ない」
3位争いのチームまではやりがいがあるんじゃないのかな
コメント