PCメモリ高騰!でも慌てて買うな
黒坂 岳央
2025.12.02 07:00
https://agora-web.jp/archives/251201010350.html
引用元: ・パソコン価格が激高騰、大手メーカー製も中華ミニPCも3倍以上に値上げ、「Macが最安」という異常事態 [422186189]
韓国製のPCは性能が格段に高いのに安価
韓国のPCを買うといい
黒坂岳央です。
PCメモリ市場がパニックに陥っている。一部のDDR5メモリのスポット価格が、春頃と比較して2倍~4倍近い価格に急騰しているケースが報告されているからだ。
背景には、AIサーバー向けのHBM(High Bandwidth Memory)需要の爆発がある。メモリメーカー(Samsung、SK Hynix、Micron)の生産ラインが利益率の高いHBMへシフトした結果、一般コンシューマー向けDDR5の供給が絞られ、需給バランスが崩壊しているのが主因だ。
SNSでは「これからさらに上がるから今のうちにPCを買え!」「自作PCだけでなく、既製品にも波及する!」といった悲鳴に近い意見が飛び交っている。
この異常事態を目の当たりにした人は「今のうちに既製品PCの購入を買い急いだ方がいいのでは?」と不安になるかもしれない。確かにメモリやWindowsの一部の機種は早めの確保がいいかもしれない。だが、少なくとも現時点では、Apple製品については買いに走る必要はないと考える。特にMacユーザーは、必要もないのに無理に確保する動きは合理的ではないだろう。
その理由を取り上げたい
Appleの価格決定メカニズムと製品サイクル
「いやそう言われても心配だ。今回は未曾有のAI需要であり、天下のAppleも一気に値上げをするかもしれない」。そのような懸念もあるかもしれない。だが、筆者はその可能性は低いと考える。理由はAppleの過去の価格改定ロジックにある。
今回のようなパーツ価格の急騰はこれまで歴史的に何度も起きているが、Appleのハードウェアビジネスにおいて、「部品コストが上がったから」という理由だけで、発売中のモデルを「サイクル途中」で値上げした事例は極めて稀である。Appleが価格を変更するのは、原則として以下の2つのタイミングに集約される。
新モデル(次世代チップ)への切り替わり時
為替レートの急激な変動時
今回のメモリ高騰が影響を及ぼすとすれば、それは来年以降に設計・製造・発売される「M5チップ」搭載機のコストに対してだ。M4チップおよび付随するユニファイドメモリの調達価格は、この高騰が本格化する前、製品設計段階ですでにフィックスされている可能性が高い。
つまり、現在のM4 Macの価格形成に対し、今のメモリ市況は何の影響も及ぼさない公算が大きい。現在の相場を見てM4を買うか迷うのは、来年の天気予報を見て今日の傘を選ぶような、因果関係の逆転した行為になりかねない。
本当に恐れるべきは「メモリ」ではなく「円安」
我々、日本人が最も恐れるべきはメモリ価格の高騰ではない。円安だ。
そもそもPC製造の原価においてメモリが占める割合は限定的だ。仮にメモリ原価が20%上昇し、それが価格転嫁されたとしても、最終製品価格へのインパクトは数%に留まる。しかし、「為替(ドル円)」は違う。
為替の変動は製品価格全体にダイレクトに、かつ即座に反映される。過去にAppleが行った「サイレント値上げ」のほとんどは、部品不足ではなく急激な円安がトリガーだ。
1ドル150円が160円、170円へと振れた瞬間、Appleは日本国内価格を引き上げる可能性が高い。メモリチャートに一喜一憂している間に、為替レートが数円動けば、その損失はメモリ差額の比ではない。ロジカルに考えれば、監視すべきはDRAMのスポット価格ではなく、ドル円チャートである。