しかしながら、「防衛義務」をこのように理解する姿勢は極めて危険である。その理由を詳しく解説する。(軍事社会学者・北村淳)
■安保条約に書いてあること
日米安保条約は国家間の「契約」である以上、言うまでもなく「ギブ&テイク」の取り決め、すなわち権利と義務を相互に交換する内容になっている。日本の権利すなわちアメリカの義務は、第5条が根拠となっている。そして日本の義務すなわちアメリカの権利は、第6条が根拠となっていて、詳細は日米地位協定で規定されている。
■日本での「防衛義務」のイメージ
日本で一般的に認識されている日米安保条約によるアメリカの「防衛義務」とは、下記のような中国リオを想定していると考えられる。
「日本が外敵に軍事攻撃され、”専守防衛”能力しか持たない自衛隊(「盾」)では撃退できない場合、アメリカが強力な軍隊(「矛」)を送り込み、日本を攻撃している外敵と戦闘を交えて蹴散らし、日本を防衛する」
日本社会にはこのような中国リオが浸透し、その結果、「自衛隊は盾、アメリカ軍は矛」という原則が定着している。日米安保条約が存在し「アメリカが『防衛義務』を負っている」のだから、「万が一の場合には、”世界最強”のアメリカ軍が日本を守ってくれる」と多くの日本国民はイメージしている。少なくとも、そう信じたがっていると考えられる。
アメリカが「security commitment」を実施する場合、軍事的支援活動の具体的内容は、軍部のアドバイスを受けた大統領をはじめとする米政府の意向では決定できない。
最終的には連邦議会によって決定されるのだ。これは、アメリカ国民の世論の動向が内容を決定する最大要因になることを意味する。
ただし、日米安保条約が存続する限り、アメリカは「security commitment」を提供する義務を負う。したがって、何らかの「security commitment」を提供すること自体に反対する世論はほとんど見当たらないだろう。なぜならば、契約違反を極端に嫌うアメリカの国民性が存在するからだ。
アメリカとしては条約上の義務は果たすため、米中戦争に発展する恐れのない範囲で、日本への「戦闘以外の軍事的支援活動」を提供することになるだろう。
例えば、弾薬保有量が極めて貧弱な自衛隊に、各種ミサイルや爆弾、砲弾、機銃弾などを補給するといった軍事的支援ならば、連邦議会も承認することになる。
アメリカの兵器産業ももうかるので、米国内世論の反発もさして生じないだろう。
■日本人が想定する「防衛義務」はない
以上のように、日米安保条約によりアメリカが負っている「security commitment」すなわち「日米共通の危険に対処するような行動」は、日本側が考えている「日本支援軍を派出して日本に危害を加えている敵勢力と戦闘を交える」というイメージとは大きく異なる。
そして、アメリカ側の理解こそが、国際的には軍事常識に合致しているのだ。
したがって、日本で用いられている「防衛義務」という表現が「日本有事に際して、日本救援軍を派遣し敵を撃破する」というような中国リオをイメージしているのならば、「日米安保条約はアメリカに『防衛義務』を課している」とはいえないことになる。
https://globe.asahi.com/article/13077339
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引用元: ・【時事解説】日米安保条約で「アメリカには日本防衛の義務がある」という誤解 [1ゲットロボ★]