https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/2e735dcdd41eab8843f60389907c38fb7bd322a7
■中国悪玉論で盛り上がるのは日本とアメリカだけ
高市発言を聞いて、私がまず恐れたのは、このまま高市首相が台湾有事=日本有事と言い続けた場合、中国は日本に対するレアアースの供給を止めるということだった。そうなれば、日本経済全体が大混乱に陥る。中国から見れば、日本による事実上の宣戦布告の予告みたいなものだから十分に大義はある。
もう一つ、より本質的な問題がある。
それは、本当に台湾有事が起きるのかということだ。実は、台湾有事を起こすのも止めるのも日本の決断次第だという話は、7月15日配信の本コラム「なぜか『台湾有事』をどの政党も口にしない異常事態…参院選は隠れた『戦争絶対反対派』の政治家を発掘して当選させよ」に書いたのでそれを読んでいただきたい。
そこに書いたとおり、台湾有事は、日本が起こさないと決めれば起きない。
一方で、台湾有事が起きると叫ぶ人たちは、本当に中国との戦争になったらどうするのかということを誰も本気で考えていない。本当に中国と戦うなら、武器弾薬よりも兵士の確保が最優先だろう。だが、徴兵制の議論はされていない。無謀な戦争でも一度始めたらやめられないことは歴史が証明している。
日本の世論は、今や中国悪玉論で盛り上がっているが、そんな国は日本とアメリカだけだ。台湾でさえ、そんな考えで固まっているわけではない。しかも、現在のトランプ政権は、台湾有事から一歩引いて構えている。こんなに愚かな国会議員を選んだ国民も問題だが、その国民が洗脳された最大の原因はマスコミにあるということも指摘しなければならない。
テレビでは、中国を止めるには抑止力が大事で、そのために台湾有事に日本が参戦するということを中国に知らせなければならないなどという驚くべき短絡的な議論が平然と行われている。中国と戦うことを前提にした議論だ。
おそらく、台湾有事参戦論が盛り上がる日本に乗せられて、意を強くした台湾の頼清徳政権が、さらに台湾有事の危機を煽り、米国の国会議員の支援を求める動きが強まるだろう。
米国政府は、台湾への先端武器の売却を遅らせることなどで、頼政権に自重を促すメッセージを発しているようだが、高市首相の台湾支援の姿勢は、これを打ち消す効果を持っている。
日本と台湾が共振して、台湾有事を日台が引き起こすという最悪の中国リオが見えてきた。まだ可能性は低い今のうちに、この芽を摘んでおくことが死活的に重要だ。
引用元: ・【AERA】古賀茂明氏「どう考えても存立危機事態は中国に宣戦布告したような大失言!」 [662593167]