10月13日に閉幕した2025年大阪・関西万博(大阪市此花区)の解体工事をめぐり、一部の海外パビリオンで判明した建設費の未払い問題がネックとなり、契約を敬遠する動きが業界内で目立っている。
解体費用を回収できないことへの懸念が主な理由。出展国側は来年4月中旬までに解体を終え、敷地を日本国際博覧会協会(万博協会)側に返還しなければならないが、産業廃棄物の処分問題も重なり、スムーズな解体に暗雲が垂れ込めている。
「未払い問題は大きな不安定要素。健全な工事環境の確保をお願いしたい」
解体業者など74社で構成する大阪府解体工事業協会は万博閉幕を目前に控えた9月26日、パビリオンの解体工事を円滑に進めるための環境整備を求めて、万博協会に上申書を提出した。
建設費の未払い問題が起きたのは、出展国側が独自にデザインした「タイプA」と呼ばれる海外館。少なくとも11カ国の元請け業者などとの間でトラブルが確認された。
このうち4カ国のパビリオンでは、外資系イベント会社の日本法人が元請けとなる形で主に建設と解体を一括で受注したが、下請け業者側が建設費の未払いを主張し、訴訟に発展している。
大阪府解体工事業協会の関係者によると、こうしたトラブルが不信感につながり、元請け側との解体契約が進まないケースがあったという。
ある解体業者は「新築と解体で性質は違っても新たな未払い問題が起こりかねず、関わることを控えた」と説明。
別の業者は、工事費の急騰といった想定外の事態が起きた場合、追加費用の支払いを受けることができるかどうかを検討した上で「工事内容と報酬が見合わず現場の安全確保が難しいと判断し、契約を見送った」と明かす。
また、解体に伴って発生する産業廃棄物のコンクリートがらの受け入れは、処理が順番待ちの状態。
同工事業協会の関係者は「実際、万博会場で出た産廃の持ち込みを断る施設もある」としながら、
「産廃の受け入れ先をめぐるトラブルが解体工事の遅れにつながりかねず、そうした遅れを理由に発注側が費用を支払わないというトラブルが新たに起きるかもしれない」と懸念する。
出展国側は来年4月13日までに解体を完了させ、万博協会側に土地を引き渡さなければならない。万博協会側が会場の跡地を更地に戻し、2028(令和10)年2月末までに大阪市へ返還されることになっている。
同工事業協会の名和祥行代表理事は「協会員から不安や問題を感じるとの声が出ている。解体完了までが万博だと思うので、問題が起こらないようお願いしたい」と万博協会側に求めている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/77bd46fbb0dadc33f833c6f817f856bf11982333
引用元: ・万博海外パビリオンの解体に暗雲も 建設費の未払い問題がネック、専門業者側が契約を敬遠 [567637504]
大量の産業廃棄物