10月27日に開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で、厚労省は2割負担となる所得基準の見直しを議題として示した。
現行では、利用者の負担は原則1割で、年金を含む所得が一定以上(単身で年収280万円以上など)の人は2割、所得が現役世代並み(同340万円以上など)の人は3割を負担する。
介護を必要とする高齢者の増加に伴い、介護費用は膨らみ続けているが、2~3割を負担するのは全体の10%に満たない。サービスは利用者の自己負担のほか、税金や40歳以上の人が納める保険料で賄われており、利用者負担の増加は保険料の抑制につながる。
政府は2023年に閣議決定した社会保障制度の改革工程で、2割負担になる所得の基準を引き下げて対象者を増やすことについて、「27年度の前までに結論を得る」としていた。
厚労省の部会は27年度改正に向けて議論を始め、委員からは「制度の持続性確保や現役世代の負担軽減に向けて必要な見直しだ」「物価が高騰し、年金暮らしの人の生活は苦しい」などの意見が上がった。
現役世代の負担減狙う
厚生労働省が介護保険制度の見直しで「応能負担」の強化を議論するのは、現役世代の負担を和らげて制度の安定につなげるためだ。
高齢化により、介護給付費は2023年度に11兆3000億円に達し、制度が始まった00年度の3・5倍に膨らんだ。40歳以上の人が納める保険料も上昇が続き、1人当たり平均月6200円ほどになっている。
読売新聞 2025/11/05 06:38
https://www.yomiuri.co.jp/national/20251105-OYT1T50023/