犯人逮捕から2日後、電話口で高羽悟さん(69)は開口一番、そう口にした。疲労と安堵が入り混じったような声だった。1999年11月に名古屋市西区のアパートで妻の高羽奈美子さん(当時32)が殺害された事件。発生から26年が経ち、やっとのことで逮捕された犯人が、高校の同級生の安福久美子(69)容疑者と知って「灯台下暗しだった」と驚きを隠せない。
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シクシク泣き始めた
安福容疑者は、同じ高校の軟式テニス部に所属していた同級生。「3年間のうち2回はバレンタインデーのチョコレートをもらった記憶がある。好意も寄せられていた」と高羽さんは回想し、こう言葉を継いだ。
「でも私は当時、安福容疑者の友達が好きだったんです。でもそのことを伝えて付き合えませんっていうと傷つけるかなと。その友達とギクシャクしてもまずいし」
高校を卒業後、高羽さんと安福容疑者は別々の大学へ進学したが、2人ともテニスは続けた。
「大学2年の頃だったと思うんですが、学生選手権か何かの試合の時『お前がプレーしているコートのそばで応援している女の子が数人いるけど誰なの?』と仲間に聞かれ、見てみたら、その中に安福がいたんです。でもその時に話はしていません。そんな思わせぶりなこと言って、希望を持たせることはしたらあかんと思ってましたから」
ある日、大学で練習中、安福容疑者がテニスコートへ見にきたことがあった。何時間も練習が終わるのを待っていたから「このまま帰すのは流石に悪い」と思い、一緒に喫茶店へ行った。
「そしたらなんかシクシク泣き始めたもんだから。周りからは女の子に失礼なことをしたような視線を浴びるし、えらい大変な思いをしました」
事件5カ月前の同窓会
安福容疑者に再会したのはそれから約20年後のことだった。1999年6月、高校の軟式テニス部のOB会で、同級生だけで18人ほどが集まった。女性は6~7人いたが、そのうちの1人が安福容疑者だった。各々が近況を順番に報告し、高羽さんは「11歳年下の女性と結婚し、子供も2年前に生まれました」と伝えた。その昼食会が終わり、当時を思い出そうとみんなで高校のテニスコートへ向かった。道中、安福容疑者が話し掛けてきた。
「結婚して、仕事もしながら家事もやって大変だけど、頑張ってるよって言われて。えらい明るくなって良かったじゃんって思って。頑張ってねって返しました。その記憶しかない。それから5ヶ月後にうちの嫁を刺しやがった」
11月13日正午ごろ、安福容疑者は高羽さんが住んでいたアパートへやって来て、高羽さんが仕事で不在中に奈美子さんをナイフで襲った。台所のベビーチェアには、当時2歳の息子、航平くんが座っていたが、無事だった。
高羽さんが訝しげに語る。
「アパートの住所は知らないはずなんです。だからどうやって知ったのか、うちの奈美子と何かあったのか。動機も含めてまだ分からない。安福容疑者との接点が分からないので、もし俺のせいだったら奈美子に申し訳ない。テニス部の名簿も当たって欲しいって警察に言っておけばよかったっていう後悔もあります」
法廷で何を語るか
事件発生以降、高羽さんは犯人の血痕が玄関のたたきに残っていることから現場保存のため、アパートの部屋を借り続けてきた。その総額は2248万円に上ったが、血痕のDNAと安福容疑者のものが一致したことが今回、逮捕の決め手となった。
「航平には母親のいない人生を歩ませてしまった。だから奈美子が殺された理由だけは航平に伝えなければ、そして母親を守れなくて申し訳なかったという気持ちで借り続けてきた。(似顔絵などの作成に必要な)DNAの法制化につながればという思いも抱いていた。2200万円以上掛かってしまったけど、航平も『父親の執念が報われてよかった』とか言ってくれたので、頑張れて良かったです」
容疑を認めている安福容疑者はすでに送検されており、このまま起訴されれば法廷で裁かれることになる。26年前の事件ゆえ、当時の記憶も曖昧になっているかもしれないが、高羽さんはこう訴える。
「無駄な言い訳や、刑を軽くするためのあからさまな嘘だとか、そういったことを語らず、正直に申告して欲しい。そして検察の求刑通りに受け入れて一審で終わらせるのが、遺族への誠意だと思っております」
発生から26年、「毎日が不安だった」という犯人は果たして、法廷で何を語るのか。
全文はソースで
https://www.dailyshincho.jp/article/2025/11041701/?all=1
引用元: ・【名古屋主婦殺害】「喫茶店で会ったらシクシク泣き始めて…」夫が語る安福容疑者の異様な素顔「当時は容疑者の友達が好きだった」 [Ailuropoda melanoleuca★]
Q.公開されていた似顔絵と容疑者は似ていた?
「申し訳ないですけれど全く似ていない」