人間VSクマ
Sさんは10年前に北海道に移住、プロの猟師として活躍している女性だ。猟師が仕事として成り立つのか、今ひとつピンと来ないが、いろいろな稼ぎ方があるのだそうだ。
「撃った鹿を内臓とって肉に分けて、と手間はかかりますが、鹿の肉を取引のあるレストランへ下ろせば、5~10万円になります。害獣駆除もありますし、一番はガイドですね。ハンティングが趣味の方を山に案内し、猟場に連れて行きます」
狩猟シーズンの冬場は、山の中の水道も電気もない一軒家で、薪とランタンで暮らし、雪を溶かして風呂を沸かす生活はおとぎ話に出てくる猟師の生活そのものだ。
「どちらかといえば山姥ですね。体が臭い方が動物に気づかれないので、風呂もあまり入らないようにしています」
そんなSさんが主に撃つのは鹿だが、駆除対象としてヒグマも撃つ。
「クマは頭が良いんです。止め足というんですが、人間が近づいてくるのに気がつくとステップバックする。自分の足跡を踏みながら2~3メートル下がって、横に飛ぶんです。そして大抵は木の上に登ります。人間が足跡を追っていくと急に足跡が消えるわけです。気づいた時には、木の上から襲ってきます」
2025.11.02
「クマ鈴」、じつは熊にとっては「おやつのお知らせ」だった…プロ猟師が明かす「死を招く」致命的な勘違いと「本当に効く音」の正体
https://gendai.media/articles/-/159591?imp=0
引用元: ・熊はハンターを待ち構え木の上から襲ってくる。熊鈴は熊を呼び寄せ、電子音で逃げると日刊ゲンダイ [454228327]
死んだマネはエサになるだけ
では一般人が山歩きでクマに遭遇したらどうすればいいのか?
「クマと遭遇した時は、その場から後ずさりで逃げるしかありません。死んだマネをしたらいいというのは、よほど遠い場合(クマとの間に谷があるなど)で20メートル以内ならクマは興味を持って寄ってきます」
死んだマネをすると生きているかたしかめるために引っかかれる。ヒグマにひっかかれると顔なら半分えぐられるので、死んだマネをして本当に死んでしまう。
「ハンターの中には大声を出せば追い払えるという人もいます。しかしハンターは火薬のにおいがしみ込んでいるので、クマは匂いで敬遠します。危ないやつだと思って寄ってきません。普通の人が大声を出したら、ごはんですよ、と言っているようなものです。弱いやつがイキってんじゃねえと食われます」
クマ鈴はおやつのお知らせ
よく言われるのがクマ鈴だ。ようはチリンチリンなる鈴をつけておけば、クマが警戒して近づかないというのだが?
「クマ鈴ですが、あれもクマが音を覚えてしまっています。クマ鈴を鳴らしながら歩くと、クマからすれば、おやつがここにあるよと教えているようなものです。クマ鈴は逆に危ない」
じゃあどうすればクマを遠ざけられるのか?
「クマも人が多いと怖がるので、1人で歩かず、必ずグループで歩きましょう。話ながら歩くとクマは近づきません。クマ鈴は逆効果ですが、クマは機械音が嫌いです。携帯電話のアラームなどの電子音が効果あります。クマが近づいてきたときにそういう音を流すといいわけです」
みんなでワイワイしゃべりながら歩くとクマも警戒する。もし現れたら、携帯のアラームのような電子音を鳴らせば、逃げていく可能性は高い。
「クマは匂いが強烈です。生臭い匂いがするので、近づくとわかります。クマのことを山親父と呼びますが、オヤジ臭の何倍も強い匂いだと思ってください。変な匂いがすると思ったら、すぐに下山しましょう」