「ダウンタウンの笑いは、弱いもんに力を与える笑いであってほしい」──伝説の番組『4時ですよーだ』のプロデューサーが浜田雅功に託す、ダウンタウンへの願い
かつて『4時ですよーだ』でダウンタウンを世に送り出した毎日放送の名物プロデューサー、田中文夫氏が、久方ぶりに筆を執った。
宛先は、浜田雅功。手紙の中で田中氏は、相方・松本人志への率直な違和感と、かつて二人が体現した“弱者に寄り添う笑い”への原点回帰を静かに、しかし強く願っている。
浜ちゃん、お久しぶりです。昔、毎日放送にいた田中です。覚えてますか。もう40年近く前、心斎橋筋2丁目劇場で『4時ですよーだ』を一緒にやっていたプロデューサーの田中のオッサンです。
最後に会ったのはもう10年近く前になります。砧のテレビスタジオ。毎日放送の『プレバト‼︎』収録の時でした。まもなく子会社の制作&技術プロダクションを退任するというタイミングでお別れの挨拶に伺ったんだと思います。
「記念ですから!」と部下に強引に浜ちゃんとのツーショット写真を撮られたのを覚えています。タレントさんとそういうことをするのは苦手なのでちょっと緊張しました(笑)。
サラリーマンを辞めてからはテレビ業界からスッパリと足を洗い、シンプルな年金生活です。テレビは殆ど見なくなりましたね。ついでに最近は新聞・週刊誌も読まなくなったので「情弱」もいいところです。世捨て人の隠居生活そのものです。
近頃、そんなジイサンの耳にも近々、『ダウンタウンプラス』なるものがスタートするというニュースが飛び込んできました。有料配信だそうですが、この件に関してはちょっと気になることもあるので、浜ちゃんに手紙を書いてみようという気になりました。
ほかでもない、松ちゃんのことです。これも10年か11年前、場所は同じ砧スタジオでした。浜ちゃんが『プレバト!!』収録前にプロデューサーと打ち合わせをしている時、ちょっと割り込んで2~3分短い話をしました。覚えているでしょうか?
当時の松ちゃんは(もちろん浜ちゃんも同様ですが)、もう既にお笑い業界というよりタレント業界全体の超大御所として君臨していました。それ自体はとても素晴らしいことで、若い頃からの知り合いとしては鼻が高かったことは事実です。
しかし誇らしさと同時に、言うに言われぬ違和感も覚えていました。何と言ったらいいのか、いつの間にか強大な権力を持った人間がそのことに余りに無自覚過ぎると言うんでしょうか。
周りのイエスマンたちにおだてられ、踊らされて行動し、その結果、松ちゃん自身が世の中の本当の権力者に擦り寄っているように見えてしまうと言うんでしょうか。テレビでの発言も危なっかしいことが増えていました。
そんな時期に砧スタジオのコーヒーショップで浜ちゃんに会ってつい愚痴ってしまいました。
「松ちゃん、最近言うてることがちょっと変やなあ。どないしたんや。他の誰が言うても絶対聞かへんやろから、浜ちゃんから直接強めにガツンと言うてもらえんかなあ(笑)」
その時、浜ちゃんは実に微妙な顔をしました。否定でもない、肯定でもない、今までに見たことのない非常に複雑な表情でした。
(あ、こらあかんな。これ以上は言われへんわ)
直感的にそう思いました。何十年続いているコンビでも何でもありと言う訳にはいかんのやなあ。それとも周りの何人かの顔が頭に浮かんだのかなあ。いやいや、浜ちゃんを問い詰めるのは本意やないしなあ、とその場は早々に撤退しました。
あれから10年以上経ちました。ダウンタウンはより巨大になり、レジェンドと言われる存在になりました。ただその間にいろんな話題があり、いろんな事件がありました。愉快なことばかりではありませんでした。
これからダウンタウンは一体どうなっていくんですか。気になっています。松ちゃんはもうテレビには出ないんですかねぇ。浜ちゃんはどうするんですか。
引用元: ・『4時ですよーだ』のプロデューサーが浜田雅功に託すダウンタウンへの願い「笑いは弱いもんに力を与える笑いであってほしい」 [冬月記者★]
ま、そうだろな
とんでもないことにその力が使われるのが笑い