https://news.yahoo.co.jp/articles/4918d2a91b2f9f79daccccd8dc36503b33a990fa
10月21日、衆参両院の本会議で第104代首相に指名された高市早苗氏。日本憲政史上初の女性首相の登場は、国内のみならず世界の話題もさらっているのだが、ここで注目されているのが中国の反応だ。高市政権の成立は、各種のニュースアプリで速報され、SNSでも検索上位に入るなど関心を持ってみられている。
いっぽう、中国は前任の石破総理の就任までは恒例だった、習近平国家主席・李強総理の2人からの祝電を送らず。祝電は李強のみの名義となり、しかもその事実は中国国内向けにはほとんど伝えられていない。この動きの真意はなんなのか。
■「1年もてば上出来、2年続けば奇跡」
中国側の真意を、筆者がより噛み砕いて述べるならば、つまり彼らは高市総理の在任中の靖国参拝と、2021年に故・晋三元首相が発言した「台湾有事は日本有事」の見解を踏襲する言動をおこなうな、と言いたいわけである。これらが中国政府からの高市政権への注文、仮に破るならば覚悟しておけというわけである。
ちなみに牛弾琴は、高市政権の今後について「1年もてば上出来、2年続けば奇跡、3年となると予測範囲外」と評している。ゆえに今後の日中関係も、中国が「我慢してあげる」ことで、よくて現状維持。もしくは高市政権の急進的な保守政策を原因とした関係悪化……。という中国リオが有力であると予測している。
中国としては、どうせ短命な高市政権が今後1年のうち、靖国や台湾の関連で変に動かなければよし。あとは放っておいても潰れるので、後任者に期待という姿勢なのだろう。そのうえで、まずは多少は失礼な接し方をしつつも、自分たちの側からは仕掛けずに高市政権のお手並みを拝見という構えだ。
引用元: ・中国メディアが高市早苗を辛辣評価「1年もてば上出来、2年続けば奇跡」 ←単なる願望な件 [662593167]
■公明連立に対する評価は…
中国国内で発表されている他の論説記事を見ても、論調は基本的に手厳しい。従来の高市総理の右派的な政治姿勢や靖国・南京関連の発言の蓄積に加えて、今回の新政権で親中国的な公明党が与党から離れたことが、厳しい意見が出やすい理由となっているようだ。
なかでも極めて辛辣だったのが、専修大学の徐一睿氏が上海のニュースウェブ『澎湃』に寄稿した骨太の経済論説だろう。徐氏は公明党が外れた高市政権が、財政の健全性を無視して有権者に迎合する「極右財政ポピュリズム」に傾斜したと主張。減税と歳出拡大を両立させるために国債が大量発行されれば、次世代に負担のツケを回すだけであると手厳しく指摘している。
維新と連立する高市政権が公約どおりの財政政策を実行すれば、円安の進行と輸入物価の上昇を招き、日本の財政は危機に瀕するというのが徐氏の主張だ。在日中国人学者による専門分野の論説だけに、日本への解像度が高い高市政権批判になっている。
もっとも、他の中国国内の論説は、靖国・台湾・対中強硬派といった特定のワードで思考停止気味のものも多く、この水準には達していない。ただ、高市政権は長く続かない──、という見立ては比較的広く共有されているようだ。
■高市氏はどこまで信念を貫くのか?
ちなみに、日本のSNSやYahoo!ニュースのコメント欄などでは、習近平が祝電を控えたことに、「高市総理にビビっているからだ」といった勇ましい意見が飛び交っているが、これは正しくない。中国側は高市総理の政権担当能力や権力基盤を明らかに低く見積もっており、ゆえに「なんとなく失礼」「なんとなく雑」という塩対応をおこなっている。自分たちが先んじて明確な敵意を剥き出しにはしないものの、ややナメながら様子を見ているというのが現在の中国だ。
近年、中国の対日姿勢は「悪いなりにマシ」だった。自国の不景気と、予測不可能なアメリカの動きのなかで、対日関係をひとまず安定的にしておくことは彼らの利益に合致したからだ。ゆえに、両国関係を不安定化させるリスクを持つ高市政権は、中国の側からは歓迎される存在ではない。
中国からの「軽侮」を、高市政権はどう跳ね除けるか。台湾への戦略的コミットはさておき、靖国参拝は経済や国民生活の向上に直結せず、中韓両国以外に対する国際関係にも影響が大きいかと思われるが、高市総理がどこまで信念を貫くか。新政権がどう動くかは、なかなか興味深いところではある。