「政治とカネ」なぜ語らぬ 所信表明演説
高市早苗首相は初の所信表明演説で、経済政策を重視する姿勢を示す一方、自民党が衆参両院選挙で大敗した最大の要因である「政治とカネ」の問題にはほとんど触れなかった。多くの国民が現在の生活への不満と将来不安を抱えているのは事実だが、政治の安定に向けて信頼回復は避けて通れない。
首相は演説のほぼ3分の1を経済に割いた。「暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済をつくる」と宣言。「この内閣が最優先で取り組むことは国民が直面している物価高への対応だ」とも述べた。ガソリン税の暫定税率廃止や「年収の壁」見直しの議論を約束し、「税・社会保険料負担で苦しむ中・低所得者の負担を軽減」するため「給付付き税額控除の制度設計に着手する」と語った。
一方、「政治とカネ」に関する言及は、「政治への信頼を回復するための改革にも全力で取り組んでいく」との一節だけ。日本維新の会との連立合意に盛り込まれた企業・団体献金の規制には一言も触れなかった。
国民民主党と公明党は、企業献金の受け皿を政党本部と各都道府県連に限定する政治資金規正法改正案を、今国会に提出する方針だ。立憲民主党も賛同する構えで、その成否は臨時国会の焦点になる可能性がある。
首相は演説で「国家国民のため政治を安定させる。政権の基本方針と矛盾しない限り、各党の政策提案を真摯(しんし)に議論する」と強調。「政治とは独断ではなく、共に語り、共に悩み、共に決める営み」だと結んだ。
連立を組み替えても少数与党の状況は変わらず、野党と「共に決める」必要がある。経済政策と同様に政治とカネの問題にも全力を挙げるべきだ。
引用元: ・時事通信「『政治とカネ』なぜ語らぬ 高市首相の所信表明演説」 [135853815]