外国籍の子に日本での就学義務はないが、教育は未来にかかわる問題だ。国際人権規約などを踏まえれば、すべての子に就学が保障されるべきであり、きめ細かな支援策を講じるよう求めたい。
調査は19年度に始まり、新型コロナウイルスの感染拡大で実施しなかった20年度を除いて5回目。24年度は全国1741市区町村の教育委員会を対象に行われた。
日本で働く外国人の増加に伴い住民基本台帳に基づく学齢相当の外国籍の子も増え、16万3358人と最多を更新。大半は小中学校や外国人学校に通うが、不就学や就学不明の子も増えている。
自治体の多くは外国人による住民登録手続きの際、就学の説明もしている。就学が確認できない子や、不就学の子がいる場合、電話連絡や個別の訪問で就学を勧めたり、就学案内を継続的に送付したりしているが、特に対応をしていない自治体も半数に上る。
日本で働く外国人の増加とともに、海外にルーツを持ち、日本で生まれた子どもの教育や保育の必要性は今後、増していく。
文科省は、すべての子どもに学習権を保障するため、外国籍の子にも就学を促すよう教育委員会にさらに周知するとしているが、子どもを学校に通わせるには、母国を離れて暮らす親を社会的に孤立させないことが大切だ。
就学支援の窓口で対応言語を増やしたり、子育て中の外国人に公共施設の利用を促して地域との交流を活発にすることはもちろん、日本語や日常生活のルールなどを教える「日本語教室」なども重要な取り組みとなるだろう。
外国人ら社会的少数者は差別や排除に遭いやすいが、現実を意識的に見ようとしなければ、問題を顕在化させることはできない。
高市早苗首相は新内閣発足に当たり「外国人との秩序ある共生社会推進担当相」を新設した。外国人を排除するのではなく、母国を離れても安心して暮らせる環境を整えることが、日本人にも生きやすい社会を実現することになる。
東京新聞 2025年10月23日 07時10分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/444349?rct=editorial
引用元: ・【東京新聞】外国籍児の就学、人権として保障せねば [10/24] [ばーど★]