筆者は不勉強ながら、初めて曲を聴きました。
そこで感じたのは、これはもろにアニメ声優の歌だなということです。
もっと言うならば、まだこういうことが通用する文化があるのだなと、少し驚きもしました。
これ30年間変わってないぞ、と。
かつて、宮崎駿監督も『ジブリの教科書3 となりのトトロ』で、声優の発声についてこう語っていました。
<特に女の子の声なんかみんな、「わたし、かわいいでしょ」みたいな声を出すでしょ。あれがたまらんのですよ。なんとかしたいといつも思っている。>
AiScReamの歌も、このいたたまれないという意味での「たまらん」気分を呼び起こします。
では、その理由はどこにあるのか。
女性声優によるアニソンのほとんどは、声を上顎にぶつけて高音を狭く小さく圧縮することで、幼さの密度を高くする芸風です。それによって、意味が限定された「かわいい」を過剰に記号化していく。
例えるなら、纏足のようないびつな小ささと丸みを強いられた女性像が声にあらわれているわけです。それこそが、アニメソングに対する大きな違和感なのですね。
この圧縮されたかわいさがテンプレートとなった背景には、安く手っ取り早く女性的なぬくもりを消費したいという男性のニーズが、発声のメソッド化を生む構図があるからです。
そしてそれが利益を生むパターンとなれば、そこにビジネスチャンスも生まれる。となると、女性声優たちによる発声の芸風は、自然と媚びた色合いを帯びます。媚の競争の中で女性性のデフォルメは加速し、ますますいびつな形が称揚されることになる。
だから、全くアニメに詳しくない筆者でもちょっと聴いただけで“これは声優の歌だ”とわかってしまうのです。
もちろん、それを職業として声優を務める彼女たちに非があるわけではありません。けれども、もう少し俯瞰的に見たときに、こうした構図を放置しておくことが健全であるかどうかには、留意する必要があるのだと思います。
日本のアニメは“クールジャパン”の象徴として扱われてきました。その独自性には良い面も悪い面もある。AiScReamの歌には、その影が滲んでいるように感じます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b588450caddffe9c2dc20551f5bb95156e40c8b6
引用元: ・音楽評論家、紅白内定「愛♡スクリ~ム!」を痛烈批判
オタクって本気でこれ言ってるんだから怖い
音楽市場の闇やね