東京暮らしをするシックな佇まいの女性が、ラッカー仕上げのテーブルにティーカップを置くと、カフェの開け放たれた窓のほうを向き、7月の首都の美しさに感じ入っていた。
外の銀杏並木の葉は、豊かな夏の緑に色づいている。昼過ぎの日差しが上野公園に降り注いでいた。人の流れが向かうのは、日本で最も長い歴史を持つ国立の博物館だ。
「本当に、この都市が大好きなんです。でも、数ヵ月前から、近所を歩くときは、前と違う道を使うようになりました。路地を抜けたりしてね。
そういう道は、中国人たちもあまり使いませんから。最近は本当に中国人が多くなりました。どこへ行っても中国語が聞こえてきます。私はそんなのを求めて、中国を離れたのではないんです」
曹(ツァオ)という仮名で取材に応じてくれたこの女性は、以前はある企業の重役だった。1年半前、中国から子供たちを連れて東京で新生活を始めた。その頃は、中国人の多さもここまでではなかったという。
曹が日本移住を計画したのは、中国の中流階級が日本を移住先として見るようになる前のことだった。つまり、中国の不動産インフルエンサーたちがこぞってSNSで、曹が暮らす文京区の物件購入チャンスについて取り上げる前の話だ。
2024年初めの時点では、曹が住むマンションでも中国人家庭は、曹の家族を含めて3世帯だった。それがいまは11世帯だ。配達される家具やエレベーター内の会話から判断すると、今後もその数は増えていきそうだ。
中国人コミュニティが新たにできあがろうとしており、当然、そこには中国人コミュニティ固有の嫉妬や粘着も生じるだろう。曹はそういったものが嫌で、中国を離れた。だから、今度は中国人が少ない、東京の別のエリアに引っ越すつもりだと話す。
■「潤日」という現象
東京で急増する「潤日(ルンリィー)」と呼ばれる中国人ディアスポラにいい印象を持っていない曹だが、その曹自身も、潤日のひとりであることは否定しようがない。
潤日とは、母国では絶対にできないライフスタイルを求めて、日本に移住する中国の中流階級を指す。日本に永住しながら、ときどき仕事で中国に戻ることを望む潤日もいるが、潤日の大半は中国に二度と戻らない覚悟で日本にやってくる。
曹は日本社会に同化していきたいと語るが、ほかの潤日たちにその覚悟があるかどうかはわからないという。
潤日は、日本でも中国でも、ほとんど誰も予想していなかった現象だ。今回の取材では、東京在住の中国人20人以上から話を聞いた。それで判明したことがある。
上海をはじめとした中国の大都市ではいま、「いかに東京や大阪に行って、そこで暮らすのか」という方法論が夕食会の中心的な話題になっているらしい。
東京の一角に中国語の書籍を扱う書店を開業した東京在住のジャーナリスト・起業家の張潔平(チャン・ジエピン)によれば、こうした夕食会では暗号のようなものがあり、その話題について話したいと相手に伝えられる。
たとえば、同席している人に「在留期間はどれくらいにする計画なのですか」と尋ねるのも一手だ。張は言う。
「それがビザについて話したいという合図になります。昨今の話題は、中国脱出の方法です。
夕食会が3時間の場合、そのうちの2時間で話題になるのは、外国のビザ取得要件、出国の手段、現地の人と結婚する方法、マンションの購入方法、両親を中国から呼び寄せる手法、中国からの現金の持ち出し方などです。
夕食会でも昼食会でも毎回それが繰り返されますし、そのときに日本が話題に出ないことはありません」
日本経済は「失われた数十年」と呼ばれる長期の低迷期が続き、活力も衰えた。それでも素晴らしいところが数多くあるというのが、こうした会話の前提にある暗黙の了解だ。
平和や経済的自由、財産権に関する世界ランキングを見れば、日本の順位は高い。政治を見ても、他国が激昂しているときでも、日本はそれを尻目に落ち着いて冷静さを保っており、他国が硬直するときも、柔軟でいられた。
加えて、日本には信頼できる医療制度、言論の自由、治安の良さ、良質なサービス、そしてきわめて水準の高い食文化もある。
以下全文はソース先で
10/19(日) 14:35 クーリエ・ジャポン
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e71e9e6ad9a7f6ce0c180d098b92eaee8acadaf
引用元: ・【潤日】「中国の中流階級」が東京に大挙して移り住むようになった理由…「本当にこの都市が大好きなんです」[10/20] [ばーど★]
経営管理ビザ→永住許可狙いだろうね。
アメリカで同種のEB-5ビザでは、約1億2,160万円以上の投資が必要だし