巨大なの目撃情報が、九州北部で相次いでいる。私たちの多くが思い浮かべる一般的なより一回り以上大きく、独特な斑紋もあるという。
取材すると、屋内で出くわす種類では日本最大のが完全定着し、九州北部の勢力図を塗り替えるような事態が起こっていた。(吉田真紀)
■ 目撃情報が相次ぐ巨大の種類と特性【リアルではないイラスト】
「今年の夏、去年まで見たことがなかったが自宅に出てきた。巨大で、その数もすごいんですよ」。福岡市早良区の男性(61)が、身の毛もよだつ情報を寄せてくれた。
「ワモンばっかり」
男性によると、7月以降、台所やトイレの換気扇などから侵入してきたであろうは30匹。
うち2、3匹は見慣れた大きさの黒いだったが、9割は明らかに違った。「ちょっと茶色くて、白っぽい輪っかの模様があって」。
その色から、飲食店などで見かける小さなコオロギのような姿をした「チャバネが巨大化したのでは!?」との仮説が浮かび、男性はインターネットで調べてみると、正体が分かった。
「ワモンだ」
専門家に見解を聞いた。九州大総合研究博物館(福岡市東区)准教授の丸山宗利さん(51)は「間違いなく、2、3年前から九州北部で急激に増えている」と断言する。
博物館周辺でも「夏の夜に外を歩いているのは、ワモンばっかりですよ」。
寒さに弱い
丸山さんによると、ワモンは体調約30~40ミリメートルでアフリカ原産。
寒さに弱く、気温約5度以下が一カ月程度続くと死んでしまう。そのため、冬季の最低気温が10度を下回ることがめったにない沖縄では「かなり昔から、普通に生息していました」。
実は、九州北部にも全くいなかったわけではない。時期は不明だが、沖縄から貨物などと一緒に“上陸”。
ビルのボイラー室や、ずっと暖房がついている繁華街の片隅などで、ほそぼそと生きていたという。
それが今では「完全に定着した」。理由は温暖化。福岡管区気象台の観測データに基づき、福岡市の2月の平均最低気温(5年ごと)の推移を見ても明らかで、
1921~25年は1・24度だったが、2011~15年は4・18度、16~20年は4・78度、21~25年は4・92度-と上昇している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/178c87cf106491caaac5df6ecc2a30d156a425db
引用元: ・ワモンゴキブリ なぜ福岡市で急増 [567637504]
マンホールの中
ワモンが屋外だけで生き延びるのは依然として厳しい時期があるとはいえ、外気温の上昇に伴い、屋内も暖かくなり「商業ビルや飲食店といった越冬できる生息域が広がった」と丸山さんはみる。
猛暑続きのおかげで、屋外で過ごせる期間も繁殖できる期間も延びた。九州北部での生息数は、誰もが一度は目にしたことがあるだろうクロに「匹敵する」までに勢力を拡大しているとみられる。
ワモンとチャバネの寒さへの耐性は同程度のため「今後、ワモンが飲食店にもよく出没する可能性がある」という。
住み心地がいい九州北部の中でも、特出しているのが下水道につながるマンホールの中だ。
元々は洞窟に住んでいたというワモンやクロにとって、外気温より暖かく、湿っていて、洞窟に似た環境。おまけに、生ゴミといった餌が流れてきて天敵もいない「楽園」なのだ。
生ゴミや使用済みの油
「マンホールの穴からが出てきている」。福岡市には、市民からの通報が2020~24年度に計215件寄せられた。同期間で計160のマンホールの穴をゴムキャップなどでふさぐ作業を行ったという。
排水溝に流せば、下水道管が詰まる原因になる生ゴミや使用済みの油。市下水道管理課は「対策にも有効なので、燃えるごみでの処分をお願いします」と呼びかけている。