騒動はまだ鎮静化していない。ライターの宮添優氏が、日々の取材に携わる報道関係者たちの混乱ぶりをレポートする。
* * *
「映像を見て、音声を聞いて、背筋がゾッとしました。これは大問題になるぞと」
苦々しい表情でこう振り返るのは、現役の日テレ報道局員。10月7日、東京・永田町の自民党内で行われた、高市早苗新総裁のぶら下がり取材を待つマスコミ関係者が「支持率を下げてやる」「支持率を下げるような写真しか使わないぞ」といい放ち、それが日テレのネットで生配信されたのだ。
日テレ関係者が続ける。
「ネット上ではすぐに犯人探しが始まりました。社内調査で、発言主が日テレの関係者でないことがわかりホッとしたものの、最近、高市氏の”シカ発言”を検証する放送で大炎上していましたので、またか、という空気が拡がっています」(日テレ関係者)
高市氏といえば、かつて放送局の「停波」について言及し、マスコミや世論から大いに批判された過去を持つ。それへの意趣返しではないかと勘ぐる声もあがり、「日テレは停波すべき」「謝罪しろ」といったクレームや苦言が、視聴者センターに届いているという。
ネットで音声が出た翌日、発言主は関係者ではないと日本テレビは公にした。
そして9日になると、時事通信社が映像センター写真部所属の男性カメラマンの発言であることを確認し、本人を厳重注意したと発表した。
報道関係者の間では、当初から発言主が「ベテランのカメラマンだろう」と噂されていたが、時事通信社の発表により、その予想は的中した。
「今回のように党本部で行われる会見を取材するのは、『平河クラブ』と呼ばれるテレビ局と新聞社の政治部記者で構成される”記者クラブ”です。クラブ加盟社専用の部屋があり、普段からそこに詰めています。記者は若手が配属される傾向にありますが、カメラマンやVEはベテラン勢が中心で、顔を合わせることが多いこともあって、所属が別の社であっても横のつながりが強い。どんな職場でも長く同じ部署だと気がゆるみやすくなるように、ベテランほど、問題の発言のような軽口を日常的にしてしまいがちです」(キー局政治部記者)
「日テレは当該の映像をすぐ削除し、問題の音声がついていない部分のみをネットに再度アップロードし、隠ぺいではないかと叩かれ続けています。現場でも、なぜネット配信中だとわかるよう、周囲に配慮しなかったのかと、日テレへ不満を漏らす者もいます」
テレビの中継であれば、オンエアに「乗る」(※放送される)タイミングがわかるため、記者はもちろん、カメラマンやビデオエンジニア(VE)を含めた誰もが声を押し殺し、雑音が入らないように心がける。
しかし今回は、ネット向けの配信をしていることが、周囲にうまく伝わっていなかった。発言そのものが問題なのだが、中継体制のせいだという声も一部ではあがっているというのだ。
問題発言をしたカメラマンの所属会社が隠さず謝罪をしたからといっても、騒動に収束の気配は見えない。ネット上では、このカメラマンだけではなく「別の声も聞こえた」という指摘があり、ほかに問題発言をしていた報道関係者がいるのではないかと、さらなる「犯人捜し」が始まっている。
取材への影響も出ているようだ。前出の日テレ関係者が続ける。
「先の総裁選ではマスコミが小泉進次郎氏の優勢を伝えていたにも関わらず、結果的に高市氏が選出されました。その結果、マスコミはうそつきだとか、情報操作をしていると批判されました。それに加えてこの騒動ですからね。特に自民党に関する取材や報道が、かなりやりづらくなってしまうでしょう」
「マスコミが情報操作し世論形成している」とネット上で陰謀論的に語られてきたことが、裏付けされてしまったような格好だ。今回のような、度を超した軽口によってマスコミへ信頼が一気に失墜したことは間違いない。
10.13 16:00 NEWSポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20251013_2070057.html?DETAIL
引用元: ・【高市支持率下げてやる発言騒動】「マスコミが情報操作し世論形成している」とネット上で陰謀論的に語られてきたことが、裏付けされてしまった、マスコミへ信頼が一気に失墜したことは間違いない
椿事件から体質何も変わってない事がはっきりした。
ふたりでモリカケ!