北アルプス鹿島槍ヶ岳山頂で起きた事案
北アルプス鹿島槍ケ岳(2889メートル)で8月、親子とみられる熊が登山者の弁当を食べた事案で、熊は人を見てもその場を離れず、登山者が逃げて置いていった弁当を食べていたことが、山小屋関係者への取材で分かった。近くのテント場でも熊が目撃されている。専門家は、熊が登山者の近くに餌があると学習している可能性を指摘。環境省は登山者への残飯管理の徹底などの呼びかけを強化している。
逃げない熊 「少し度を越えている」
鹿島槍ケ岳と爺ケ岳の間で冷池(つめたいけ)山荘を営む柏原一正さん(69)=大町市=によると、8月15日朝、鹿島槍ケ岳の山頂に子連れの熊が現れた。付近には複数の登山者がいたが、熊は逃げなかった。これまでも熊がうろついたり座り込んだりする姿の目撃などはあったが、今回のケースは「少し度を越えている」と受け止める。けが人はいなかった。
テント場で「ガサガサ」
17日夕には、山荘のテント場で「ガサガサ」という音がしたため、テント泊の登山者が周囲を確認。子熊とみられる熊と目が合ったという。山荘はこの日、テント泊の登山者全員に小屋で泊まってもらった。その後はテント泊の自粛を呼びかけている。
「人の周りに餌」学習か
NPO法人信州ツキノワグマ研究会(松本市)代表の岸元良輔さん(72)=長野市=は、目撃された熊について「もしかしたら『人の周りには餌がある』と経験している可能性がある」と指摘。一方で「登山者から、たまたま熊が近づいてきたように見えたのかもしれない」ともみる。
一般的に熊対策では「人の『餌』の味を覚えさせないことが一番大事だ」と強調。今回も、安全確保が第一だが「可能であったならば、弁当はザックにしまって持ち帰れていれば良かった」と話す。
カップ麺の残し汁も捨てないで 環境省が注意呼びかけ
今回の件を受けて環境省中部山岳国立公園管理事務所(松本市)は、この山域では登山者に特に注意を求める必要があると判断。登山口に当たる大町市扇沢などで、残飯の管理に加え、カップ麺の残した汁なども捨てないよう、看板での呼びかけを始めた。仁田晃司登山道専門員(65)は「熊が人の食べ物に関心を持つのは好ましくない」と話す。
熊の生息域に入る登山「駆除は難しい」
登山では熊の生息域に人が入っていくため、人里に熊が現れて人と接触するケースとは異なり、駆除は難しいと説明。被害が出ないよう「防止策を訴える」としている。
40~50年前は「2年に1回くらい」だった目撃が
一帯の高山帯での熊の目撃は、40~50年前は「2年に1回くらいだった」と柏原さん。今年は鹿島槍ケ岳や爺ケ岳などをつなぐ稜線(りょうせん)で相次いでいる。登山道付近で熊が動かず、登山者が進めずにいる―といった情報が寄せられた場合、山荘スタッフが熊撃退スプレーを持って現場に向かう対応をしているという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/14411c55ed2cd57ac157ffcc9ebe72551d6a3a1c
引用元: ・山頂で弁当食べ、テント場にも出没 北アルプスの熊に起きている変化「カップ麺の残し汁も捨てないで」 [567637504]