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2025年9月21日 06時00分 有料会員限定記事
全国各地の大規模太陽光発電所(メガソーラー)事業に対する批判が強まっている。法令違反や環境破壊は看過できないが、太陽光発電自体は再生可能エネルギーとして推進すべきものではなかったか。環境に配慮しながら運営されるメガソーラーも含めて全て悪なのか。現場を訪れて考えた。(中川紘希)
◆「市民で発電所を建設したい」実現
千葉県匝瑳(そうさ)市の農地に支柱が立てられ、3メートル余りの高さに細長いパネルが規則正しく並んでいる。列と列の間隔は広く、足元の大豆畑に日光が降り注いでいた。1メガワット以上の出力でメガソーラーにあたるが、山がパネルで覆われるようなネットで出回る画像とは異なる風景だ。
「太陽光に否定的な方が見学に来ても『考え方が変わった』と言ってくれることが多い」。農業と発電を両立させるソーラーシェアリングに取り組む「市民エネルギーちば」(同市)の宮下朝光専務(68)は「こちら特報部」の取材に話した。
県内の環境団体の代表者らが2014年、「市民で発電所を建設したい」と考えて同社を設立した。衰退する地域農業の再生も目指し、耕作放棄地を活用している。パネルの下で農業法人が大豆と麦を育てている。
太陽光発電のパネルは、その幅の2倍の間隔を空けて並べている。植物は日光が当たりすぎると成長を止める性質があり、農作物に悪影響を与えない範囲で発電しているという。市民や信用金庫などの出資を受けながら事業を拡大し、現在では23ヘクタールの農地にメガソーラー2基と1メガワット未満の通常の太陽光発電24基を稼働させている。
◆売電収入を地域に循環させる
批判が絶えない他のメガソーラーとの違いは、売電収入の1割程度を住民や農業従事者に還元する「匝瑳システム」にある。
農業収入の安定化に役立ててもらうため、農業法人に耕作協賛金として年約1000万円を支払っている。さらに地権者に地代として年約380万円、地元の豊和村つくり協議会にも協賛金年400万円を支払っている。長期休み期間中の小学生を預けられる施設の運営費や移住者への支援金などに使われている。これらとは別に固定資産税も納めている。
宮下氏は「売電収入を地域に循環させ元気にしたい。都会の大企業が売電収入だけを搾取するようなやり方とは異なる」と話した。災害時には発電を地域に開放しており、2019年の台風で停電が起きた際も6日間に延べ150人がスマートフォンの充電などに使った。
◆「利権」「自然破壊」根拠のない批判
ただネット上では同社に関わる不確かな情報も拡散されている。2017年にメガソーラーの落成式を行った際に脱原発を目指す元首相の小泉純一郎氏、細川護熙氏、菅直人氏が出席した画像について、あるアカウントがX(旧ツイッター)で今月14日、「日本を壊し続けている」などと文章を付けて投稿。「利権がある」「太陽光は自然破壊だ」などのコメントが相次いだ。
椿茂雄共同代表(74)は「利権の根拠がわからない。政治的な立場が違う3人でも同じ事業に期待してくれただけでは」と戸惑う。ネットの批判に「私たちも自然に負荷をかける事業には反対だ。一方で地域と調和し共生を目指す太陽光発電があることも知ってほしい」と話した。
宮下氏も「不正確な情報全てを正すことはできない。それよりも地域でコツコツと良い事例を積み上げていくことの方が重要だろう」と話した。
◆地域に貢献する仕組みで受け入れられた
再エネ推進を目指す公益財団法人「自然エネルギー財団」の尾身悠一郎上級研究員は、匝瑳市の取り組みについて「メガソーラーであっても、地域の経済や課題解決に貢献する仕組みにすることで、住民も受け…
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引用元: ・【千葉】「メガソーラーは悪」のレッテル貼り 地域に根付く施設さえヤリ玉に 釧路湿原問題が再エネ全否定を招く危機感 [少考さん★]
必死だなあ