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2025年09月06日 08時07分共同通信
ベトナムが将来の労働力人口維持を図る政策を次々に打ち出している。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は2024年、過去最低を記録。共産党指導部は焦燥感を募らせ、子どもを原則2人までに制限する「二人っ子政策」を廃止し、公立学校の授業料無償化を決めた。ただ近年の経済成長で晩婚化が進み、効果を疑問視する声が上がる。(共同通信ハノイ支局=松下圭吾)
「授業料無償化といった好ましい政策が進行中だ」。最高指導者トー・ラム共産党書記長は2025年6月、地元メディアに寄稿し、国や党の改革が進んでいると自賛した。
ベトナムは高成長が続き、2024年の国内総生産(GDP)成長率は前年比7%を超えた。指導部は2桁成長を視野に入れるが、労働人口の多さが経済発展を支える「人口ボーナス」期は2040年ごろに終わると指摘される。
ベトナム戦争が1975年に終わり、南北が統一しても経済は低迷した。出生率は急上昇し、人口政策に詳しいマイ・スアン・フオン博士によると、女性1人が5~6人を産み、食料不足に陥った。1988年、違反者には罰金や昇給停止の罰則もある二人っ子政策を本格導入した。
一方、1986年のドイモイ(刷新)政策採択による市場経済導入で、経済は発展に向かい、合計特殊出生率は1990年代後半から2.1前後で安定した。転じたのは2023年。人口維持に必要な水準を割り込み、2024年は1.91に。結婚の平均年齢は年々上昇し、最大都市ホーチミンは2024年に30.4歳となった。
地方で住宅補助を含む結婚や出産の振興策が取られたものの、目立った効果はない。
首都ハノイの女性会社員(35)は結婚して縛られたくないし、夫や家族は負担だと話す。経済的に独立した独身生活は「快適で幸せ」。営業職の女性(32)は「生きがいは仕事」と語る。地元メディアは、若い世代の多くが人生を満喫するためにお金を使いたいと考えていると伝える。
授業料無償化は2025年9月に始まる予定だ。だが小中学生の子ども2人を持つハノイ在住の共産党関係者は授業料は月額約15万ドン(約840円)と学校関連の全費用の1割に過ぎないとし「昼食代や補講代金の方が高い」と焼け石に水だと指摘する。
アジア経済研究所の石塚二葉研究員は二人っ子政策を続ける必要性は近年低下していたため、廃止はやや遅きに失した感があるとし「出生率が上がることも考えにくい」と分析した。
引用元: ・「二人っ子」廃止、授業料無償化の効果は… 少子化進むベトナム、矢継ぎ早に政策 [少考さん★]
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