【米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校研究】史上最高の野球選手はベーブ・ルースではない・・・史上最高の投手はクレメンス、マダックス、ランディ・ジョンソン、史上最高の打者はボンズ、ウィリー・メイズだ

伝説的な野球選手の故ベイブ・ルースやハンク・アーロンは、新開発の基準に基づく史上最高の野球選手ランキングでは、後の時代の選手に抜かれるという結果が出た。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の統計学部と歴史学部の研究チームは、さまざまな時代をまたいで野球選手を比較できる新しい統計的枠組みを開発した。

同大はこの研究について「歴史に残る選手の成績を認識・評価する方法を大きく進化させる」ことで、「昔の野球選手の方が過大評価されがち」になる論争がついに決着するかもしれないと説明している。

新しいランキングは研究チームが新たに開発した「フルハウス・モデル」の枠組みに基づいて算定した。「大リーグ（MLB）選手の特定シーズンの実績と、
その選手を輩出した人材プールの大きさとのバランスを取る」ことによって、選手の評価基準を調整しているという。

最新ランキングには史上最高の選手に交じって近代の選手が複数並ぶ。「フルハウス・モデルで近代の選手のランクが上昇したのは、近代の方が人材プールが大きいことによる」（研究チーム）

研究の結果、バリー・ボンズやウィリー・メイズといった近代の選手がルースやアーロンといったレジェンド選手を抑えてトップに立ち、史上最高の打者に浮上した。時代調整後の史上最高の投手には、ロジャー・クレメンス、グレッグ・マダックス、ランディ・ジョンソンが選ばれた。

今回の研究は、複数の学問分野にまたがる研究を通じて野球の全側面を探ることを目指すエック・スポーツ・ラボのプロジェクトの一環として実施された。

「フルハウス・モデリングのプロジェクトは、選手の偉大さを評価するため原則に基づく時代に中立的な基準の確立を目指す同ラボの取り組みにおける重要な一歩」と研究チームは位置付ける。

統計調査会社スタティスタによると、野球市場の売上規模は今年、142億ドルを突破すると予想され、その大部分（約105億ドル）を米国での収益が占める見通し。

この市場は年間平均4.68％の成長が見込まれており、市場規模は2029年までに171億ドルを超すと予想されている。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2025/08/566157_1.php

「フルハウスモデリング」で野球選手を時代を超えて比較
https://projecteuclid.org/journals/annals-of-applied-statistics/volume-19/issue-2/Comparing-baseball-players-across-eras-via-novel-Full-House-Modeling/10.1214/24-AOAS1992.short

本稿では、時代調整された野球統計に適した新しい方法論的枠組みを開発する。この方法論的枠組みの中で、特定のモデルが動機付けられる。

我々はこれらのモデルをフルハウスモデルと呼ぶ。フルハウスモデルは、特定のシーズン内のメジャーリーグベースボール（MLB）選手の業績と、選手が出身するMLBのタレントプールの規模とのバランスをとることによって機能する。

我々は、野球選手のパフォーマンス統計を時代間で比較するアプリケーションにおけるフルハウスモデルの有用性を示す。

我々の結果は、野球史上最も偉大な選手の新しいランキングを明らかにし、その中には歴代トップ選手の中に数人の現代の選手が含まれている。

現代の選手はより大きなタレントプールから来ているため、フルハウスモデリングによってランクが上がる。我々は、タレントプールの推定値を含むモデリング入力の変更が結果にどのように影響するかを調べるために、感度分析とマルチバース分析を示す。