この「就職氷河期世代」、いわゆるロストジェネレーションから支持を集めた背景には何があったのか。主に文化的な観点から考察してみよう。
現在40~50代の就職氷河期世代は、バブル崩壊後の不況期に社会へ出た。正社員になれず、派遣や非正規雇用でキャリアを築かざるを得なかった人も多い。
景気回復の恩恵は薄く、今も収入や社会的安定を得られない層が少なくない。まさに「救われなかった世代」である。
この世代が育った1980~90年代、日本社会には父親が外で働き、母親が家庭を支える家父長的な家族観が色濃く残っていた(『平成5年度厚生白書』)。
アニメやゲーム、漫画などのサブカルチャーでは、優しく無条件に受け入れ、ときに超人的な力で守ってくれる女性キャラクターが多数存在した。批評家・宇野常寛氏はこれを「母性のディストピア」と分析している。
2000年代に入ると、2ちゃんねるやニコニコ動画などネット文化が台頭する。この頃から、自分の好きなアイドルなどを応援する「推し」という言葉が生まれた。
2010年代にはAKB48や『アイドルマスター』など、複数の中から自分の推しを見つける文化が定着する。同時期に、政治や社会問題を真剣に議論するより、茶化したり揶揄したりする「冷笑系」の態度が広まった。
さらにSNSの普及によって、自分の感情や信念に合う情報だけを選び取る、反知性的ともいえる情報受容のスタイルが拡大した。氷河期世代の一部には、心地よいものだけを選択的に受け入れる感情的な傾向が根付いたといえる。
こうした世代的背景は、参政党の主張やスタイルと親和性を持った。たとえば同党は選択的夫婦別姓制度に反対し、家父長的な家族観を重視している。
参院選の街頭演説で、同党のさや(本名・塩入清香)氏が「みなさんのお母さんにしてください」と発言した場面は、「有権者を子ども扱いしている」と批判された一方、「母性の発露」として受け止められる向きもあった。
また、SNS上での参政党支持は、まるでアイドルグループを応援する「箱推し」に近い熱量を帯びていた。『Nippon.com』大阪経済大学・秦正樹准教授の調査によれば、参政党支持層の政党への感情温度は85.1ポイントと極めて高く、党首と政党の評価差も小さい。
「#推しのために選挙へ行く」といったハッシュタグが登場し、政治活動がファン活動の延長のように行われる。演説の切り抜き動画やインフルエンサー発信は政策よりも人物像や感情的魅力を前面に押し出し、支持者の熱量をさらに高めた。
参政党で最も目立った主張は「日本人ファースト」だったが、それが最大の支持要因とは限らない。
『朝日新聞デジタル』2025年7月20日の記事で、ルポライターの安田峰俊氏は「国民のなかにおける『うっすらと非知性・反知性的なマインド』を持つ現役世代層に刺さった」と分析している。そうした層に参政党が支持された理由を「『わかりやすい』『自分たちに向け発信している』とみなされたため」ではなかったか、と述べた。
氷河期世代は長年、政治に裏切られてきたという感覚を抱いてきた。参政党は既存政党とは異なる存在として、この層に感情的同感を呼び起こした。支持は単なる政策選好ではなく、世代経験と文化的背景に根ざした感情的な選択だったと言える。
この構造を理解することは、今後の日本政治を読み解く上で重要な手がかりとなるだろう。
引用元: ・【参政党を支持する40~50代の就職氷河期世代】さや氏 「みなさんのお母さんにしてください」が刺さった背景
働けない自立出来ない日本人ファーストをw
頑張れ。銃後は任せろ
気色悪いにもほどがある
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