「休眠がん細胞は何年も何十年もじっとしていることがあります。何が彼らを目覚めさせるのか、完全には分かっていません」と、米コロラド大学アンシュッツ・メディカルキャンパスの研究者であるジェームズ・デグレゴリ氏は言う。
「そこで私たちは、肺の感染症が休眠細胞を目覚めさせることはあるだろうかと考えました。研究の結果、かなり劇的な形で、その可能性があることが分かりました」
この発見はがんサバイバーに関して、大きな問いを投げかける。かぜをひいたり新型コロナに感染したりするのは、がんの再発の静かな引き金になるのだろうか? ウイルスと戦う免疫系は、この過程でどんな役割を果たしているのだろうか?
以下では、現時点で明らかになっていることを説明しよう。
■休眠がん細胞が炎症を悪用
デグレゴリ氏の研究チームは、少なくともマウスでは、インフルエンザや新型コロナ感染症が肺にある休眠がん細胞を目覚めさせる可能性があることを発見した。また、コロナ禍での数万人のがん患者に関するデータから、同じことが人間でも起こっている可能性が示された。
すでにこれまでの研究で、細菌の感染やたばこの煙による炎症は、肺にある休眠がん細胞の再活性化と関係づけられている。そこで研究チームは、呼吸器感染症も同様の影響を及ぼすかどうかを明らかにしたいと考えた。
【日時】2025年08月15日 12:30
【ソース】National Geographic
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