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この夏、「日本人ファースト」というメッセージが賛否両論を伴って日本を席巻しました。
マナーが悪い、不動産を買収している、福祉制度を悪用している……。それぞれ個別の問題は確かに存在するのでしょう。また、残念ながらここ最近、外国人による凶悪な事件が連続的に報道されています。
ただ、個々のケースを「線」で結べるか、日本人のみを母数にした場合と比べて頻度や凶悪さが有意に異なるかは、詳細な検証を待つ必要があるでしょう。
一部のトラブルを、民族あるいはその国籍を持つ人全体、それどころか「日本人ではない人」全体の問題に簡単にすり替えてしまう――
そこには、日本社会の外国人に対する理解不足があります。
テレビでよく目にする「外国人トラブル」の報道でも、モザイク越しに"マナー違反"の場面が映され、それに困惑する地域住民の声が紹介されます。
それを見て多くの視聴者は「また外国人が問題を起こしている」と認識するでしょうが、問題の本質はディスコミュニケーションです。
多様な文化的背景を持つ人々が、日本社会では「常識」とされること(そして多くの国・地域ではそうではないこと)を知らないまま日本にやって来て、不幸にも誤解や相互不信が生じ、やがて「郷に従えない人間は日本に来るな」という排除の論理につながってしまっているのです。
最終的な責任はやはり政府にあると思います。移民制度とは決して言わないものの事実上それに準じた「制度」や、積極的なインバウンド奨励策で、政府が日本への外国人流入を後押ししていることは明らかです。
取りあえず経済的な恩恵は欲しい、しかし社会との意識の擦り合わせなどソフト面の対応は後回し――そんな姿勢こそが、「日本人ファースト」というフレーズが人々の心に響いてしまう状況を生んだのではないでしょうか。
少子高齢化が進む日本が構造的に抱える経済問題の出口は見えていません。衆参両院で過半数を割った与党に劇的な成長戦略を打ち出す余力はなく、トランプからの要求を「あまり損をせず軟着陸させる」ぐらいが関の山です。
このままプアーミドル層、貧困層が増えていくならば、ますます「外国人」に不満の矛先が向きやすい状況が生まれていくかもしれません。
今、最も必要なのは、経済成長のための構造改革にすぐにでも着手することでしょう。①男女の完全パリティ(家事・育児・介護の分担50%ずつ、賃金格差ゼロ)、②包括的・包摂的な移民政策、③農政の本質的な改革、④教育制度のアップデート(特に英語および理系)と大学などへの国家的な投資……。
こうした点が変われば、日本には明らかにまだまだ成長余地があります。問題は、仮に今から手をつけたとしても、先行投資や改革が目に見える効果を生み始めるまでに最低5年から10年はかかることです。
恩恵が体感できないうちに「外国人が優遇されている」「日本の食料安保を損ねている」「男性に家事や育児、介護を任せるのは無責任」などの反発が出て、世論が延々とこじれ続け、極右ポピュリズムが急成長する――そんな中国リオも想像に難くありません。
しかし、それでも日本社会はチャレンジするしかないと私は思います。皆さんはいかがでしょうか?
モーリー・ロバートソンMorley Robertson
国際ジャーナリスト、ミュージシャン。1963年生まれ、米ニューヨーク出身。ニュース解説、コメンテーターなどでのメディア出演多数。最新刊は『日本、ヤバい。「いいね」と「コスパ」を捨てる新しい生き方のススメ』(文藝春秋)
引用元: ・【国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンの考察】「日本人ファースト」が人々の心に響く そんな社会状況はなぜ生まれたか?
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