シャチが仲間を溺れさせる？　狩猟のための練習行動の意味とは

シャチの群れが仲間を溺れさせようとする恐ろしい訓練の様子が撮影されました。その意味とは？

ャ・パレ　2025年8月5日公開

　BBCの新番組『Parenthood』で衝撃的な映像が放送されました。シロナガスクジラの狩に際に必要な技術を習得させるべく、群れが練習を重ねる様子が捉えられているのです。

　映像では、群れの中で獲物役と狩役に分かれ、母シャチが子シャチに溺れるふりを教えている様子が分かります。
　若い子シャチが獲物役になり、群れの仲間たちが獲物役を取り囲んで噴気孔を水に沈め、呼吸ができなくなるようにして溺れさせようとするのです。獲物役のシャチは水中にしばらく身をひそめ、また海面に上がる練習を繰り返しています。

　研究者の間では、シャチがクジラを溺れさせて狩りをするという手法が広く知られています。BBCの撮影班が「こうした狩猟の練習行動は今まで撮影されていませんでした」と語る通り、映像で捉えられたのは初めてのことです。
　番組では、アナウンサーで生物学者でのディビッド・アッテンボローがナレーションを担当しています。「シャチが最大の動物シロナガスクジラを狩ろうとしています」素敵なレーションにもご注目ください。

　この光景が撮影されたのは西オーストラリア・ブレマー湾の沖です。撮影には、ジンバルと呼ばれる特殊な防振装置と曳航式の水中カメラが使用されました。
　撮影クルーは「こうした新技術のおかげで、シャチの群れと同じ速さで移動できるようになりました。シャチに関する新たな知見な得られたのは嬉しいかぎりです」と語ってくれました。

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　ブレマー湾には約200頭のシャチが生息しており、地元の観光協会・ブレマー湾シャチ協会によれば、南半球で最大の群れとのことです。群れは6頭から20頭ほどで構成されており、普段はシロナガスクジラではなく、ダイオウイカやダイオウホオズキイカを餌としていると考えられています。

　もちろん、シロナガスクジラの成獣はシャチよりもはるかに体格が大きく狩りには危険が伴います。そのため普段は、病気にかかって弱っているクジラや子クジラを追います。特に子クジラは体力が少なくシャチにとっては狙いやすい獲物です。

　新番組『Parenthood』は全 5話の構成で、子クジラを守るための戦略や行動を描いています。北米では一年ほど遅れて公共放送・PBS『Nature』内で放送される予定です。