花巻市と北上市の田んぼに水を供給する豊沢ダムは大幅に貯水量が低下し断水をする措置が取られています。
稲の穂が出る時期を前にした断水に農家からは不安の声が聞かれました。
内記和人記者
「花巻市内にあるこちらのダムでは例年であれば向こうの山のふもとまで水位があるそうなんですが、現在(7月28日)は極端に水が少ない状況です」
花巻市の豊沢ダムです。
市内のほか北上市の一部の田んぼ合わせて約4250ヘクタールに水を供給しています。
過去30年の7月中旬の平均貯水率は約65%を維持してきましたが、6月以降雨が少なくなった影響で、7月28日朝時点の貯水率はわずか24%ほどにとどまり、極端な貯水量不足に陥っています。
豊沢川土地改良区の藤原康司事務局長はこうした状況に肩を落としています。
豊沢川土地改良区 藤原康司事務局長
「4月と5月は土日のたびに雨が降り順調に水を確保していたけど、6月と7月に雨が降らず渇水になり非常に重く受け止めている」
豊沢川土地改良区が試算した結果、ダムからの取水制限を行わなければ8月6日には貯水率が2%にまで低下する見込みとなり、渇水対策が求められる状況となりました。
内記和人記者
「豊沢ダムの水を農地へと送る水利施設に来ています。田んぼへと水を送る水路に目を向けてみると水が流れていないのがわかります」
花巻市湯口の分水工と呼ばれる施設、普段は左右どちらの水路も水が流れていますが、現在(28日)は浄水場につながる画面左側の水路が生活用水を供給しているだけで、農業用水は流れていません。
豊沢川土地改良区では8月1日ごろの稲の穂が出る時期に水を確保するため、26日から8月6日までの合わせて5日間は苦肉の策として農業用水を断水することにしたのです。
豊沢川土地改良区 藤原康司事務局長
「良質な水稲を確保するため(土地改良区の)組合員には大変申し訳ないけれども苦渋の決断で『断水』という対策を取ることにした。雨が降ってほしい」
豊沢ダムの水が供給される花巻市内の田んぼは断水の影響で土が乾いているのが分かります。
豊沢ダムから水の供給を受ける花巻市の農家及川トモ子さんは田んぼだけではなく畑などにも豊沢ダムの水を使っているため断水の前にタンクにその水を貯めて水が供給されない期間を乗り越える工夫をしていました。
政府の備蓄米の投入などで2025年度産のコメの価格が不透明ななか断水の影響に不安を抱いています。
花巻市の農家 及川トモ子さん
「コメの質にも関係してくるので、2025年とれるコメもどんな価格になるのかと考えてみれば心配ごとは絶えない」
豊沢川土地改良区は断水の日を除き9月10日までは農業用水の供給を当初計画の8割程度に抑える計画で、降雨により貯水量が回復すれば当初計画の供給量に戻すことを検討しています。
引用元: ・【貯水率低下で農業用水を断水】岩手県花巻市の豊沢ダムが貯水率24% 農家からは不安の声 「雨が降ってほしい」
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