(遠藤雅)
◼タブレット端末
日立製作所の研究開発拠点(東京都国分寺市)で、インターネット上の仮想空間「メタバース」を利用した作業システムが報道陣に公開された。秋山高行主任研究員がタブレット端末に「センサーが高温を示している。どうすれば良いか」と尋ねると、AIが「冷水不足が原因と考えられます。冷水バルブを手動で開放してください」と、作業手順を指南した。
AIは、装置の設計図やトラブル対応の履歴に基づき、最適な作業内容を判断する。メタバース上に装置の具体的な操作方法も示され、経験の浅い非熟練者だけでなく作業用ロボットにも応用できる。
ルネサスエレクトロニクスの工場で行われた検証では非熟練者の業務遂行能力が3割程度向上したといい、秋山氏は「効率的に熟練者の技能を共有する仕組み作りが大事だ」と話す。
◼仮想現実を利用
重電大手の明電舎も、日立と同様に技能を「見える化」して効率的な継承を試みている。今秋にも仮想現実(VR)を利用し、変圧器や配電盤などが配置された製造現場を3D空間に再現した研修システムを導入する。同社の担当者は「時間も場所も選ばず学ぶことができる。人手不足が懸念される中で、技術継承を確実に行っていきたい」と話している。
◼OJT転換
これまで技術継承の中心だったOJT(職場内訓練)に比べ、効率化を図りやすい面もある。NEC子会社のNECファシリティーズは昨年、工場の施設管理者の人材育成を目指す研修施設を開設した。半導体製造に必要なクリーンルームなど実際の工場と同様の設備を設け、作業時の映像を生成AIで解析し、改善点などを指摘した日報や報告書を自動作成する。従来、「一人前」になるのに12年程度かかったが、6年に短縮できるという。
経済産業省のものづくり白書によると、2024年の製造業の就業者数は1046万人と、この20年で約1割減少した。製造業の85・3%が人材育成や能力開発に問題があると回答し、そのうち6割超が「指導する人材の不足」を挙げている。
[読売新聞]
2025/7/15(火) 7:57
https://news.yahoo.co.jp/articles/32f086a02831b0b7c99469688b644c8bb6096904
引用元: ・かつては「背中を見て学べ」の製造現場の技、AI活用し継承…「一人前」になるのに12年程度が6年に短縮も [煮卵★]
ベテランの失敗話もまた技術なんだけど
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