石破茂首相は12日、名古屋市での応援演説で米国との関税交渉を巡り「日本の国益をかけて、自公政権は必ずこの交渉をやり遂げる」と断言した。9日の千葉県船橋市の演説ではトランプ政権を念頭に「なめられてたまるか」とも発言した。
10日は滋賀県草津市で安全保障政策を巡り野党を批判した。立憲民主党は安保法制に関し「違憲部分は廃止する」と主張している。これに関し「そんなところに国を担わせることが絶対にあってはならない」と説いた。
外交・安保政策を巡り責任政党としての立場を訴える場面が目立つ。選挙戦の序盤は物価高対策で実施する現金給付の説明に時間を割いた。
ところが12日の愛知県2カ所での演説で2万円以上の現金給付に関し、1カ所で触れなかった。別会場でも短い言及にとどめ、賃上げに焦点を当てた。世論調査で現金給付が不人気との結果を意識しているとみられる。
共同通信が5~6日に実施した全国電話世論調査(第2回トレンド調査)によると、投票先を「まだ決めていない」との回答が選挙区で41.8%、比例で37.0%あった。
13日は選挙活動ができる最後の日曜日になった。残り1週間で投票先を決めかねている人をどれだけ取り込めるかが勝敗を分ける。特に候補者が乱立する都市部ほど他党との違いを打ち出す必要がある。
立民は外国人政策に力を入れる。野田佳彦代表は12日、仙台市の街頭でSNSを通じて演説テーマを募集したところ最も多かったのが「共生社会・人権」だったと明かした。2位の物価高対策を上回り驚いたと語り「新しい争点が生まれている」と話した。
野田氏は「外国人を排斥して得点を稼ごうとする政治勢力があれば私は断固として戦う」と強調した。「日本人ファースト」を掲げる参政党が念頭にある。「働く現場では外国人がいないとやっていけない人手不足だ」と話し、共生を唱えた。
公明党も12日発表した追加公約で外国人との共生を訴えた。新しい司令塔を設けて在留外国人の規制に目配りしつつ「秩序ある共生社会」を実現すると明記した。斉藤鉄夫代表は8日の演説で「排外主義を唱える勢力にはくみしない」と主張していた。
公明党は埼玉や福岡などの選挙区で参政党と競り合っているとの見方がある。参政党との違いを出して穏健な無党派層に照準を合わせる。勢いにのる参政党は外国人規制にくわえ、積極財政を進める方針を堅持する。
国民民主党の玉木雄一郎代表は所得税減税に加え、成長戦略の訴えに重点を置く。「明確な方針を出しているのは国民民主だけだ」と繰り返す。投資減税や教育国債を財源とする子育て支援を提唱している。
日本維新の会は現役世代の負担を減らすため社会保険料を1人年間6万円引き下げると訴える。共産党は賃上げや年金引き上げ、教育費負担の軽減を訴え排外主義への反対を強調する。れいわ新選組は消費税の廃止を主張する。
日本経済新聞 2025年7月13日 5:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA10BKG0Q5A710C2000000/
引用元: ・参院選後半戦、与野党が演説戦略練り直し 物価対策に「プラスα」で訴え [蚤の市★]
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