事実上の移民政策にかじを切ったにもかかわらず、政府は「外国人材の活用」と言い換え、地域住民として共生していく取り組みを
怠ってきた。
こうした中、外国人の犯罪やトラブルを問題視する声がSNSで高まった。特定の民族の排斥を訴えるデモも繰り返されている。
訪日観光客の急増も相まって、マナーの欠如や不愉快な言動を見聞きすることが増えた側面もあるのだろう。
だが根本には、外国人受け入れで充実すべき施策を政府が軽視してきたツケが、憶測や混乱を生んでいるのではないか。
各党の公約では、従来になく規制に傾いた主張が目立つ。
自民党は「違法外国人ゼロ」を掲げ、難民認定申請中の仮放免者への対応強化をうたう。公明党も「在留管理の高度化」を訴える。
公示後、政権は外国人政策の司令塔組織の設置を打ち出した。
日本維新の会は、外国人比率の上昇抑制や受け入れ総量規制を、国民民主党は土地取得の規制をそれぞれ盛り込んだ。
れいわ新選組は低賃金の労働力導入を目的とした「移民政策」に反対する。
規制強化を競い合うのは、外国人の社会保障の利用制限など「日本人ファースト」を掲げる参政党に対する危機感の表れもあろう。
6月の東京都議選で躍進し、直近の世論調査でも存在感を高める。
一方、立憲民主党は「多文化共生社会基本法」制定を掲げ、在留外国人の人権保護を唱える。
共産党は労働者の権利や難民保護を柱とする入管法改正を訴える。
移住外国人を巡る問題は、一足先に欧州諸国で顕在化した。中東などの難民を大量に受け入れた社会負担をやり玉に挙げ、
排斥を訴える右翼政党が各国で伸長する。
デマによる批判多く
比較的少ない日本でも、ネットなどで「外国人が過度に優遇されている」「公的医療保険や生活保護などの制度を悪用している」
といった批判が増加。だが、虚偽や根拠不明のものが多い。
厚生労働省によると、23年度に生活保護を受給した世帯のうち外国人世帯は2・9%に過ぎない。国保の総医療費でも外国人に
支払われたのは1%だけだ。そもそも在留外国人の平均年齢は日本人より若く、社会保障の負担と給付バランスでは日本人が恩恵を
受けるというのが専門家の見方だ。
外国人が治安を悪化させているとの言説も、警察庁の犯罪摘発件数を見る限り、事実ではない。
SNSや一部報道に流されず、冷静に実態を判断したい。
直視すべきは、日本の経済や社会がいかに外国人に支えられているかという現状だ。製造業や農業、サービス業、建設や福祉など、
日本人だけでは成り立たない産業の現場は増えている。
国際的な人材確保の激化にも目を向ける必要がある。少子化が進む韓国や台湾でも労働力不足は深刻で、共生策を充実し、
「選ばれる国」へ力を入れている。
誰もが安心な環境を
特に日本が遅れているのは、言葉や文化の違いに悩む子どもたちへの支援である。
文科省の調べでは、学校に通っていない「不就学」の外国籍の子どもは全国で8600人に上る。
日本語指導が必要な児童生徒も増加傾向が続き、そうした生徒の高校中退率は全体の8倍と高く、就職でも非正規の比率が際立つ。
本来、政府が急ぐべきは、外国人が家族を含めて安心して働き、暮らせる環境づくりだ。
排外主義を強めるトランプ米大統領を見ても、国内の不満を外国人に向ける政治は社会に大きな禍根を残す。
参院選での公党による過激な主張が、SNSでのデマ拡散を助長しているとの指摘もある。社会の分断でなく、
人権尊重と多様性に根ざす政治こそ求めたい。
7/12(土) 16:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/7a4cc42f27adfe1f828fe6b3a38aeb255aaf8229
引用元: ・【京都新聞社説】 外国人政策 分断や排外主義をあおるな [7/13] [仮面ウニダー★]
< ;?Д?> 外国人でも生保貰えるニカ?
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