■今や中国が自動車輸出台数世界一
2023年、中国の自動車輸出台数が約491万台と日本(約442万台)を超えて世界一となった。
2024年もさらに増加し、約586万台となっており、約421万台と前年割れだった日本との差を大きく広げている。2025年もさらに増加する見込みである。
中国製の自動車というと、電気自動車(BEV)の急成長が話題になっており、EUやアメリカが高関税をかけたりして対抗措置を取っていることが報じられている。にもかかわらず輸出台数世界一を続けているのだ。
いったいこれはどういうことなのか。
■中国で生産されたBEVの大部分は国内で売られている
確かに中国のBEV生産量は圧倒的で、世界のBEVのうち7割以上が中国で生産され、64%が中国国内で販売されている。つまり中国で生産されたBEVの大部分は中国で売られているわけだ。
これは中国が国策でBEVの生産に補助金を出し、ユーザーにも半ば強制的にBEVを買わせるような施策をとっているからだ。
たとえば北京市での車購入は抽選制だが、内燃機関(ICE:ガソリンとディーゼル)車の割り当て台数は新エネルギー車(NEV:BEV/PHEV/燃料電池車)より大幅に少なく設定されている。
従って中国内でのBEV開発競争は激しくその進化は早い。そのためトヨタやマツダなど日系メーカーも中国の提携先企業の技術を使ったBEVを中国市場では導入している。日本で開発していてはコストも高く、開発スピードも中国メーカーのペースに追いつけないからだ。
(略)
■日本に肉薄するハイブリッド技術
また、BYDは高効率エンジンだけでなく、日本車にかなり近いレベルのハイブリッド技術も発表済みだ。高効率エンジンと新世代ハイブリッド技術の組み合わせで、最新のモデルはデータを信じれば34.48km/L(充電ゼロのハイブリッドモードでの燃費)という低燃費とワンタンクで2100kmという航続距離を実現するという。
中国と日本では燃費の測定基準が違うので横並びに比較することはできないが、この燃費性能を実現しているのはボディサイズがかなり大きいSEAL(全長4800mm)である。
仮に日中の基準に20%の違いがあると仮定しても27.6km/Lとなるため、プリウスよりはやや劣るものの、シビックハイブリッドよりは燃費がいいことになる。しかもこれは約90kmのEV走行が可能な重いバッテリーを搭載したPHEVなのだ(プリウスもPHEVモデルは26km/Lにとどまる)。
欧米メーカーが高性能ハイブリッドの開発に苦戦している中、この性能が本当なら先進国でも高い競争力を持つだろう。中国でも最近ではBEVよりPHEVの伸びの方が大きいので、他の中国メーカーも当然これに追従したハイブリッド技術を開発するはずだ。
■「マルチパスウェイ」はトヨタの専売特許ではなかった……
現在の市場トレンドを見ると、BEVの市場はこれからも徐々には伸びていくだろうが、しばらくの間はICEを搭載したPHEVとハイブリッドが主流の時代が続くと考えられるので、高性能で低価格な高効率エンジンとハイブリッド技術には大きなポテンシャルがある。
今後中国から輸出される車は、BEVよりもPHEVやハイブリッドが主力となると考えた方がよいだろう。BYDは2025年末までに日本市場にPHEVを導入すると発表しており、今後は日本市場でもBYDの主力はPHEVとなるはずだ。
中国車はBEVのみならずトヨタが主張する「マルチパスウェイ」においてもものすごいスピードでレベルアップしているのだ。「マルチパスウェイ」にいち早く取り組んでいる日系メーカーはまだハイブリッド技術や最新エンジン技術でアドバンテージはあるものの、近い将来中国車との激しい競争にさらされることになるだろう。
BEVでもハイブリッドでも苦戦している欧米メーカーは厳しい状況に追い込まれる恐れがあり、今以上に保護貿易に頼らざるを得ないかもしれない。
■危機感を募らせる日本勢の動向
以下全文はソース先で
プレジデントオンライン 2025/06/29 11:00
https://president.jp/articles/-/97339
引用元: ・自動車輸出「日本を抜いて世界一」 中国製のガソリン車、ハイブリッド車が次に狙う日本の牙城 [7/8] [ばーど★]
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