「さんが撃たれた」「先生、行ってあげて」。2022年7月8日午前11時半すぎ、患者の家族が必死に叫ぶ声が診察室に聞こえた。現場に駆けつけると、氏は青ざめた顔で呼吸はなく、瞳孔が開いていた。指の爪の付け根をつねっても反応がない。出血もひどいことが推察され、「危険な状態だ」と感じた。
クリニックにあったAED(自動体外式除細動器)を使おうとしたが、心停止状態だったためか作動せず、輸血用の設備はなかった。「救急車がすぐに来るはず。今できることを」と、心臓マッサージの状況を見守った。
奈良市消防局によると、救急車が到着したのは、事件発生の約10分後だった。救急隊員に容体を伝える間もなく、氏が搬送されるのを「奇跡が起きてくれ」と祈りつつ見送った。だが、その夜に亡くなったことを聞いた。
救急車の到着に10分かかると分かっていれば、気管挿管して気道を確保できたのではないか。救急隊員と話ができていれば、容体の緊急性を正確に伝えられたかもしれない――。事件後、自問自答を繰り返している。
通勤時に車で現場の前を通ると、氏の姿が脳裏に浮かぶ。「誰がいつ悲惨な状況に遭うかは分からない。緊急時に適切な治療ができるように、救急隊との迅速な情報共有や救命装置の充実に努めたい」と話す。
[読売新聞]
2025/7/8(火) 11:05
https://news.yahoo.co.jp/articles/56e40d9c9f6e961f1939fb40ee5bfddddb7de8b1
引用元: ・安倍氏の顔は青ざめ瞳孔は開いていた…駆け付けた医師、救急車到着までの10分に「何かできたのでは」 [煮卵★]
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