彼らの研究は2025年5月5日にJournal of Epidemiology誌に掲載される。
肺炎は日本における主要な死因の一つです。毎年約74,000人が肺炎で亡くなっており、その98%は65歳以上の高齢者です。肺炎の主な原因は肺炎球菌です。
日本は2014年10月、国家予防接種計画に基づき、23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23)を用いた高齢者向けの全国的な定期予防接種プログラムを開始しました。
広島県東部の山間部に位置する世羅町は、全国展開に先駆けて2010年10月、広島大学の研究チームと共同で肺炎球菌ワクチン接種支援事業を企画・実施しました。
この事業は2015年3月まで実施され、地域住民の健康増進を目的として、当時高齢者向けに承認されていたPPSV23ワクチンを65歳以上の全住民に接種しました。
この共同事業の一環として、ワクチン接種後の肺炎予防効果を評価するため、5年間の追跡調査を実施しました。
広島大学大学院医歯薬保健学研究科疫学・疾病制御学講座講師 杉山 彩
具体的には、高齢化率の高い農村地域における高齢者の肺炎発症率と死亡率に対するPPSV23ワクチンの影響を理解しようとしました。」
プロジェクトに参加した世羅町の住民の年齢は70歳から114歳までで、平均年齢は84歳だった。
ワクチン接種プログラムの導入後の死亡率の変化を評価するため、研究者らは2000年から2016年までの日本の人口動態統計から集計された人口動態データを使用しました。
彼らは、断続時系列分析を用いて、特に当該町におけるワクチン接種プログラムの導入前後の死亡率に注目し、死亡率の水準と傾向の経時的変化を定量化しました。
本研究は、超高齢社会におけるワクチン接種支援プログラムの有効性に関するリアルワールドエビデンスの構築を目指しました。
データ分析の結果、世羅町の高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチン接種支援プログラムが、肺炎関連死亡率の25%減少と関連していることが示されました。
「注目すべきは、このプログラムが、それまで上昇傾向にあった地域における肺炎死亡率の傾向を逆転させたことです」と杉山氏は述べています。
この研究は、ワクチン接種を受けた高齢者における肺炎の実際の発生率に関する貴重なデータも提供しました。
発生率は1,000人年あたり20.3件でした。科学者は、一定期間にわたって個人を追跡する研究において、人年法を用いています。1人年とは、1人の個人を1年間追跡することを意味します。
「これらの調査結果は、地域でのワクチン接種活動の公衆衛生上の重要性と、高齢化社会における肺炎の負担の両方を強調している」と杉山氏は述べた。
研究チームは、この研究結果が世界で最も高齢化が進んでいる日本にとって特に重要であると考えています。
「今回の評価が完了したことを受けて、次のステップは、これらの結果を共有し、地域ベースのワクチン接種戦略に関する今後の議論に役立てることです。
さらなる研究が必要ですが、高齢者の肺炎予防の効果的なアプローチを模索している地域にとって、私たちの研究結果が参考になることを願っています」と杉山氏は述べています。
ワクチン接種支援プログラムにより高齢者の肺炎関連死亡率が25%減少
https://www.hiroshima-u.ac.jp/en/news/91193
引用元: ・【広島大学研究】広島県世羅町で肺炎球菌ワクチンを65歳以上の全住民に接種、肺炎予防効果を評価するため5年間の追跡調査を実施・・・肺炎関連死亡率が25%減少
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