米国では対外情報機関として中央情報局(CIA)、防諜機関として連邦捜査局(FBI)を持っています。英国の対外情報機関は秘密情報部(MI6)で、防諜機関は内務省保安局(MI5)です。
ロシアは、対外情報機関の役割を対外情報庁(SVR)が担い、防諜機関として連邦保安庁(FSB)があり、中国の国家安全部と公安部(警察組織)も同様の関係です。
これに対し、韓国の国家情報院(国情院)は、対外情報機関と諜報機関の2つの役割を担った巨大組織です。
国情院は日本にも要員を送り込んでいますが、その活動内容についてはこれまでほとんど知られていませんでした。
そんな中、ソウル特派員経験のある共同通信の佐藤大介氏は、新著『韓国・国家情報院』で、大統領直轄の情報機関・秘密警察である国情院の全貌に迫りました。
以下では佐藤氏が、国情院の要員が日本でおこなっている活動について解説します。
■韓国大使館に存在する2人の政務公使
韓国国内政治の動向を見つつ、北朝鮮をにらんだ情報収集活動を続けてきた、大統領直属の情報機関・国家情報院(以下、国情院)。
彼らにとって、数多くの在日朝鮮・韓国人が暮らし、北朝鮮の朝鮮労働党の影響下にある朝鮮総連も存在する隣国の日本は、前身の中央情報部(以下、KCIA)の時代から国外の重要な拠点となってきた。
今回は、国情院の日本での組織や活動などについて見ていきたい。
国情院の日本での組織は、基本的に外国使節団に依拠しており、全員が外交官の身分として入国し、活動する。
これを統括する日本でのトップは韓国大使館の政務公使だ。だが、韓国大使館には政務公使が2人存在している。
「1」と呼ばれる政務公使は外交部出身の外交官が就き、一般的な政務を司る。「1」の政務公使は総括公使の役を担い、大使館で大使に次ぐナンバー2の地位でもある。
一方の「2」と呼ばれる政務公使には、KCIAの時代から情報機関の幹部が就任している。
もちろん、対外的に2人の肩書はいずれも「政務公使」で、表面上はその区別はない。だが、大使館内での序列は大使をトップに次は政務公使「1」で、政務公使「2」はそれに次ぐと考えられる。
日本での国情院組織の具体的な規模は明らかではないが、大使館には政務公使「2」のほか、公使参事官や参事官など10人程度が国情院から派遣されている。
大使館では政務や経済など、担当によってフロアが割り振られているが、国情院の要員も特定のフロアに集まって仕事をしている。
大使館としての組織上、職員は大使の示す方針に従って動き、報告を行うのが原則だ。
国情院の要員も、日韓関係などについて大使から調査指令を受けたり報告したりすることもあるが、日本での北朝鮮工作員に関する捜査など情報分野の内容については、韓国の本部に直接報告することが多いという。
独自の予算も持っており、大使館の中でも独特の存在となっている。
このほか、領事部や各地の総領事館には、国情院の要員が領事としてそれぞれ1人派遣されている。
こうした国情院出身の領事は「情報領事」と呼ばれ、それぞれの管轄エリアに在住する朝鮮総連の活動家の動向や、朝鮮籍から韓国籍に変えようとする在日コリアンの審査などに当たる。
大使館と領事部、総領事館にいる国情院の要員は、大半が海外情報局から派遣されているが、大使館の1人と大阪の総領事館には、北朝鮮のスパイを含む韓国内の共産主義活動に対する「対共捜査」を担う部署の要員が充てられている。その理由や活動については後述する。
■自らが国情院の要員だと絶対口にしない
国情院が日本に派遣している人的な規模は、大使館に約10人、領事部と各地の総領事館に約10人で、合わせて20人ほどと推測される。
これを多いと捉えるか少ないと捉えるかについては判断が分かれるところだが、個人的には日本で活動する各国の情報機関の中でも、トップ5に入るとの印象だ。
以下全文はソース先で
■対共捜査要員は喫茶店を決して使わない
■日本の情報関係者も舌を巻いた追尾技術
佐藤 大介 :共同通信 編集委員兼論説委員
東洋経済 2025/06/29 12:00
https://toyokeizai.net/articles/-/886695
引用元: ・東京の韓国大使館には20人の「スパイ」が送り込まれている?“韓国のCIA” 国家情報院は日本で何を探っているのか [6/29] [ばーど★]
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