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島岡 まな 大阪大学元副学長/刑法学者
2025/06/27 8:00
日本の中絶手術は、子宮の胎児を掻き出す「掻把(そうは)」が一般的だ。だが、先進国では服薬で済ませる方法が主流になっている。フランスと日本で流産を経験した大阪大学元副学長・刑法学者の島岡まな教授は「20年前ですら、フランスではたった一粒の服薬で処置できた。日本が遅れている背景には、女性が自己決定権を持つことが許されていない現実がある」という――。(聞き手・構成=ライター堀内敦子 前編/全2回)
自分の体なのに「男性の同意」が要るなんて
もう、天国と地獄の差がありました。
25年ほど前、ここ大阪に来てから流産したときの話です。出血したため婦人科に行ったら「ああ、これはもう手術ですね」と言われ、3日くらい入院することになりました。当時、結婚していたフランス人の夫がちょうどそのときはフランスに戻っていたんです。
それなのに「手術には夫の同意が要る」と病院に言われたんですね。そうした「同意」はあれから20年以上たちましたが、今でも法律上必要です。
手術形態は中絶手術と同じ内容で、「掻把そうは」という、子宮の胎児を掻き出すというものです。全身麻酔で大がかりな手術になるので「夫の同意書が要ります」と。私自身が同意していても夫の同意が要ると言われ、国際電話をかけて事情を説明したら夫は大笑い。「なんだそれは!」と言われました。
病院に「夫は今フランスにいるんです」と言ったところ、「じゃあファクスで同意書をフランスに送り、そこにサインしてもらって送り返してもらってください」と言われました。もう一度夫に相談して、「だけど国際電話、高いよね」と私が相談したら、また心底大笑いされまして、「僕のサインを真似て書けよ!」と言われてしまいました。
パリの病院に行ったら「これを飲んでください」と言われ…
「いちいちマジメに日仏をファクスでやりとりすることなんかない、誰もそんなもん確認できるわけがない。なんでそんなバカなことをするんだ日本人は」と、心底バカにされました。
今でも同じようなことを日本はやっています。日本に住む女性たちは、流産した時の手術すら自分の自由にはできません。私はすぐ炎症を起こしてしまう体質だったため予後もすごく悪く、退院後も何度か通院することになりました。掻把ですからとにかく苦しくて痛くて、その後1週間は非常につらかったです。地獄のようでした。
ところが、その後、海外出張先のパリでも流産を経験しました。レストランで食事をしていたら大量に血液が降りてきた感覚があり、「これは大変!」と急いでホテルに戻ったんですね。どうしようどうしようと思いながら次の日、全然知らないクリニックに駆け込みました。
医師は「ああ、これは流産されましたね」と言って、「では、これを飲んでください」と一粒、錠剤を渡されました。20年以上前のことで日本ではまだ中絶薬が入ってきておらず、私も知識がありませんでしたから、この薬はなんだろう? まるで栄養剤みたいだなと思いつつ飲んだところ、そこからもう、すっきり。トイレで血液は流れましたが痛くなかったんです。そして次の日から働くことができたんですね。
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(略)
※全文はソースで。
引用元: ・「胎児を無理やり掻き出す」中絶は先進国で日本だけ…フランスで流産した大阪大元副学長 (島岡まな氏) [少考さん★]
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