【米ブルームバーグ・オピニオン】日本は欧米の轍踏むな・・・欧米では移民や「ゲットー化」に関する国民の懸念を軽視し続け、誰も耳を傾けなかった結果、過激な政治家に支持が集まっている

しかし、日本でそれが現実となった。きっかけは、キティやアニメ「エヴァンゲリオン」の綾波レイなど、数々の人気キャラクターを演じてきた声優の林原めぐみ氏が、自身のブログで外国人の増加について意見を述べたことだった。

林原氏は、ルールを守らない外国人への対応を求め、海外からの留学生が奨学金で学ぶ一方、日本人学生が自費で教育を受けていると批判した。

投稿の主眼は投票に行こうという呼びかけだったが、最も波紋を呼んだのは、日本の習慣や「日本らしさ」が、今の傾向が続けば失われかねないという懸念だった。

それは、外来種に生息地を脅かされる日本固有のザリガニになぞらえられていた（ネット上の反発を受け、林原氏はこの比喩を削除した）。

ロサンゼルスで発生したような大規模な抗議行動には程遠いが、これまで移民があまり注目されてこなかった日本でも、この問題が熱を帯び始めていることを林原氏のコメントが示している。

これは、他国で政治家たちがだんまりを決め込み、結果的に過激な立場の集団だけが注目されるようになった例を繰り返すべきではない、という教訓を含んでいる。

筆者は以前、長らく移民に対して閉ざされていたと見なされていた日本が、実は多くの外国人を受け入れていることについて書いた。

この傾向は今も続いており、外国人の数はここ10年でほぼ倍増し、2024年には過去最大の10％増を記録した。

問題は絶対数ではなく、変化のスピードだ。外国人居住者の割合はここ30年間で１％未満から３％余りに増え、50年には約10％に達する見込みだ。

移民急増に絡む批判は、欧米の失敗例が影響しており、日本と他国を同一視するインフルエンサーらによって助長されている。

日本政府の移民政策は、多くの国々と比べてはるかに慎重で微妙なバランスを保ってきたが、それでもユーチューブのアルゴリズムにはあらがえない。

「日本の移民問題」を検索すれば、数百万人のフォロワーを持ち、あらゆるテーマに独自の見解を持つ「ひろゆき」こと西村博之氏らが日本は無防備で、もはや日本人の国ではなくなるのではといった疑念を動画で配信している。

だが、こうした主張は、日本には国家の負担となるような働かない外国人は多くないという事実を無視している。

日本は難民の受け入れには極めて慎重で、入国管理も機能している。不法滞在者の数は、外国人が増えているにもかかわらず、30年前の４分の１に減少し、外国人による犯罪件数も同様に減っている。外国で見られる不満や申し立てをそのまま当てはめるのは適切ではない。

とはいえ、行政の対応が追いついていないケースもある。例えば、短期滞在者が日本の手厚い国民健康保険を悪用しているのではという懸念や、観光客が日本の運転免許を簡単に取得できてしまう法規制の抜け穴など、日本の「おもてなし」が悪用されているのではという不安が存在する。

林原氏の言いたかったのは、公共交通や医療、犯罪防止といった日本社会のうまく回る仕組み全てが、住民のルール順守に頼っているという点にある。

多くの決まりに戸惑う外国人も多いが、特に密集した都市においては、こうしたルールは住民同士の調和を保つ上で不可欠だ。

礼儀に関する林原氏の不満は、日本に住んでいる人なら、外国人、日本人を問わず共感できるもので、新型コロナウイルス禍後の国境再開以降、日常生活で不快に感じることが増えたというのが多くの人の実感だ。

法務省の調査では、外国人住民に最も望むこととして地元のルールや習慣を守ることを挙げた人が約78％に上った。

政府の対応は遅れている。医療費未払いのまま帰国する観光客の再入国を防ぐことや、健康保険料を払っていない外国人のビザ（査証）更新を認めないことなどが議論され始めたばかりだ。

政治家たちも、ゆっくりとではあるが反応を見せている。石破茂首相は「ルールを守る外国人は受け入れる」と表明し、そうでない「外国人には厳格に対応していく」と警告した。前デジタル相の河野太郎氏も最近、不法移民への批判を強めている。

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ハローキティが移民問題を巡る議論の引き金になるとは、誰が予想しただろうか。

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