中国EV「ツケ払いの成長」限界 BYD、仕入れ債務5年で7倍に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1048G0Q5A610C2000000/
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引用元: ・中国BYD、低価格販売のため部品メーカーからの仕入れを長期ツケ払い 債務は5兆円に 第2の恒大の声も [478973293]
中国政府が買掛金や手形を駆使する資金繰り策にメスを入れた。電気自動車(EV)産業を手始めに、供給業者への支払期間を60日以内にするよう指示した。仕入れ債務が5兆円にのぼる比亜迪(BYD)は最大年4000億円のコスト増になるとの試算があり、株価は直近1カ月で1割下落した。「ツケ払い」に頼った成長は転機を迎えつつある。
「国家と関係部門の求めに応じ、取引先への支払期限を60日以内にする」。BYDは11日未明、SNSで短い声明を発表した。一部で200日を超えていた支払期間を大幅に短縮するという。
支払期間の短縮は上海汽車集団など国有大手のほか、民間の浙江吉利控股集団や小鵬汽車(シャオペン)、小米(シャオミ)といったEVの主力プレーヤーが相次いで表明している。
丸紅中国の鈴木貴元・経済研究総監は「中国の中小企業の資金繰りは厳しい状況が続いており、当局にとって課題」と話す。中国政府が最初にやり玉に挙げたのがEV産業という構図だ。ここ数日、工業情報化省、国家発展改革委員会などが複数の自動車メーカーの経営トップを呼び出したとの情報が流れていた。
BYDは量販車種の価格を2割引き下げるなど、シェア獲得に奔走する。無謀にみえる積極策を可能にしたのは年4割超のペースで伸びてきた販売台数だけではない。「ツケ払い」の急増も資金面の大きな支えとなってきた。
上場企業5000社の買掛金、手形は24年末に17兆4000億元と19年の10兆4000億元から膨らんだ。増加率は売上高(5年間で35%)、純利益(同16%)を上回る。業績が順調に伸びている間は仕入れ債務が増えても問題はない。だが、いったん成長が止まると資金繰りは急速に悪化しかねない。中国企業は24年12月期まで2期連続で最終減益に陥っている。
株式市場はすでに問題視し始めている。買掛金などが膨張している企業への売り圧力がじわりと増している。
車載電池の寧徳時代新能源科技(CATL)、スマートフォンの伝音控股(トランシオン)、鉄鋼の鞍鋼、太陽光パネルの隆基緑能科技(ロンジソーラー)には3つの共通項がある。世界シェアで1~3位の製品を持ち、過去5年で買掛金が2倍以上に増え、株価は伸び悩んでいる。
ニッセイ基礎研究所の三浦祐介主任研究員は「支払期間の短縮は他業種へも波及し、大企業の資金繰りへの圧力は強まる」という。BYDをはじめ、これら企業への株式市場の警戒が杞憂(きゆう)だったか、リスクの正確な先取りかは遠からず見えてくる。
買掛金がBYDの資金繰りを支える
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BYDの株価は1カ月で1割下落
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