■「バランサー論」の危険性
李在明氏の外交・安全保障に関する公約は、目標達成への15の方策で構成される。このうち「韓国の外交領域を拡大して多角化:新アジア戦略およびグローバルサウス協力推進」は2番目に記載されているが、「堅固な米韓同盟に基づく全方位的な抑止能力の確保」は7番目に位置している。
一般的に公約では、重視する政策ほど上位に掲載される。それを前提に公約の行間を眺めると、「米韓同盟は維持・重視しつつも独自外交を推進する」という文脈が読めてくる。これが筆者の誤読でないことは確かだ。中国の国営メディア「新華網」は6月4日付「徹底分析 李在明はいかにして勝利したのか?」で、氏の新アジア戦略について、「米国、日本、ロシアなどとの関係を均衡的に発展させ、地域戦略と協力を推進している」ことが勝因の一つだったと結論づけている。
中国が秋波を送ったかのような新アジア戦略で思い出されるのは、盧武鉉元大統領の「バランサー論」だ。これは盧元大統領が就任2年目に提唱したもので、北東アジアでの勢力均衡を図るために、韓国が日米中露などと等距離外交を行うというもの。しかし、その結果は散々で、米韓関係を極度に悪化させただけだった。
李在明大統領は就任演説で、「堅固な米韓同盟をもとに日米韓協力を固め、周辺国との関係も国益と実用の観点から接近する」と、バランサー論に近い考えを示している。日本で長年勤務した元韓国外交官は、新アジア戦略の危険性をこう指摘する。
「自主的外交、等距離外交は民族主義的傾向が強い進歩派に根強い考え方です。そのため、おそらく早い段階から中国に接近すると思います。もちろん、韓国外交の基本は米韓同盟ですが、日米の立場からは『離反』に映るでしょう。米中対立が深刻な国際情勢の中で、韓国が米中を天秤にかけるような外交は『二兎を追う者は一兎をも得ず』に陥ります」
■在韓米軍削減が誘発するもの
(略)
■台頭する韓国の核武装論
これまで李在明大統領の選挙公約と関係者のコメントから、新政権の安全保障政策の見通しを述べてきた。李在明氏が自主的外交を推進して中国に接近すれば、トランプ政権は在韓米軍削減でプレッシャーをかけ、米韓関係が再び悪化するおそれがある。中国の覇権主義と北朝鮮の核・ミサイル開発の動きが強まる中で、米韓関係の悪化は日本に大きな影響を与える。
ただし、その影響はこれまでの「反日」というガス抜きとは異なり、韓国の「核武装論」という形で表出してくるかもしれない。
韓国の核武装は朴正煕大統領時代に検討されたこともあるが、現在は米国への不信感、つまり、北朝鮮が核保有したことによって、米国が北朝鮮と戦えなくなったという懸念から論じられている。
核武装論を提唱する世宗研究所の鄭成長副所長権限代行は、6月4日の韓国紙へのインタビューに「米国は韓国の脅威である北朝鮮よりも中国抑止に一層注力すると予測される。このような状況で新政権が、すでに失敗した北朝鮮の非核化政策に固執すれば、韓国の安保環境はさらに危うくなる」とし、「トランプ大統領を説得して、核燃料再処理施設とウラン濃縮施設を持てるよう米韓原子力協定を早期に改定しなければならない」と答えている。
鄭副所長は昨年2月に東京で開かれたシンポジウムで、「日韓がともに核武装して、韓国が北朝鮮を、日本が中国を抑える必要がある」と主張していた。世宗研究所とは韓国外交部所管のシンクタンクで、政策立案に影響力を持っており、政治家のポピュリズム的な発言ではないことを押さえなければならない。
実際、米エネルギー省は今年3月、韓国を安全保障や核不拡散などで注意を要する「センシティブ国」に指定した。同盟国の指定は異例で、中国やロシア、北朝鮮と同列に扱っている。
李在明政権について、日本ではいまだ反日大統領の誕生というような見方もあるが、反日どころではなく、安全保障政策の如何によっては、尹錫悦政権で進んだ日米韓の防衛協力体制が霧散する危険性をはらんでいる。さらには民族主義・自主的外交の帰趨として、核武装を選択することも絵空事ではない。
「実用主義」の李在明大統領を日米側に引き止めるには、名を捨てて実を取るよう仕向けるほかないだろう。李在明大統領の新アジア戦略と、韓国をめぐる中国との綱引きに対して、日米両政府がどのように対応していくのか真価が問われる。
吉永ケンジ
全文はソース先で
Wedge 2025年6月9日
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/37863
引用元: ・【Wedge】反日どころではすまない李大統領のヤバい考え、核武装に走る可能性も [6/9] [ばーど★]
日本も同じことを考えてるw
戦時徴用工問題(未解決)
慰安婦問題(未解決)
関東大震災虐殺(未解決)
軍艦島奴隷労働(未解決)
佐渡鉱山奴隷労働(未解決)
浮島丸沈没事件(未解決)
長生炭鉱事件(未解決)
高島海底炭鉱事件(未解決)
夕張炭鉱事件(未解決)
飯塚麻生炭鉱(未解決)
三池炭鉱事件(未解決)
ウトロ飛行場事件(未解決)
長崎造船所事件(未解決)
八幡製鉄所事件(未解決)
コメント