そんな中、東京大や京都大といった超難関大学では、経験者を集めたサークルが結成され、時間をかけて夢を叶えた多浪生たちの居場所づくりを進めている。
(木ノ下めぐみ)
京都大のサークル「多浪交流会」のメンバーは59人。体験談集を作ったり、懇親会を開いたりしている。今年4月の新メンバーは6人。4浪の末に総合人間学部に入った男性は22歳だ。高校のときの同級生らは大学を卒業した人が多い。
大学の同級生たちとも年が離れているため、サークルでは「ありのままの自分でいられる」と笑顔をみせる。別の新入生も「多浪ならではの切迫感や劣等感もあるが、サークルのなかでは素を出せる」と話していた。
サークルの立ち上げメンバーの1人で3浪の竹末新奈さん(29)=法学部、休学中=は「浪人を重ねると、そのことを気に病んだり不安な気持ちで入学する学生が多い。彼らの居場所を作りたかった」と話す。
多浪してまで進路にこだわった理由は何だったのか。
サークルの現在の会長で、医学部3回生の貫哲章さん(23)は、当初1浪して総合人間学部に進んだが、医者になる夢を諦めきれず仮面浪人。通算2浪で、希望の進路にたどりついたという。
貫さんは、「多浪という選択には『現実逃避をしている』と批判されることもありますが、多浪を選ぶ人は『理想の環境で大学生活を過ごしたい』という切実な願いを抱えているんです」と話していた。
文部科学省の学校基本調査などを基に大手予備校「河合塾」がまとめたデータによると、平成3年入試の大学進学希望者のうち浪人(既卒)生は約28万人で、31%を占めたが、令和6年には過去最少の4・3万人、7%だった。
減少の理由について、河合塾主席研究員の近藤治さんは「少子化による18歳人口の減少と大学の増加による定員増」を挙げている。
東京大にも平成28年に設立された「多浪交流会」がある。入会条件は2浪以上で、会員数は約100人にのぼる。令和3年に多浪の実態をつづった書籍を出版したり、メディアに露出したりと活発な活動をしてきた。
ただ、OBの男性は「ここ数年は実動会員が少なく、活動は存続の危機が続いている」と指摘する。原因はSNS。
サークルとは直接関係ない人の多浪に関する書き込みに「親に何年迷惑をかけるのか」などと否定的な意見が相次ぎ、サークル内でも活動をためらう声が上がったという。
昭和62年に連載が始まり、浪人生の青春を描いて人気を博した漫画「冬物語」(小学館)の作者、原秀則さんは、多浪批判などの情報がSNSを通じて受験生にも容易に目に入る中で「『なんとなく浪人』が選べない社会なのかもしれない」と話す。
その上で冬物語を描いた時代を「当時はドラマの主要人物の周辺に浪人生が登場するなど今以上にポピュラーな存在だった」と懐かしむ。
東大サークルのOBは「活動を通じて、多浪でもどうにかなった先輩がいると伝えたかった。今後も活動を続けてほしい」と話していた。
[産経新聞]
2025/6/7(土) 9:08
https://news.yahoo.co.jp/articles/847f21e0a4c7f944e85ddbf9b2f9f5d02bf1a871
引用元: ・3浪、4浪も当たり前 東京大学・京都大学の「多浪サークル」 活動は存続の危機…原因はSNS [煮卵★]
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