極右組織元幹部が政府提訴、米議会襲撃捜査は「違法」　145億円の損害賠償要求

2025/6/7 08:21

　2021年の米議会襲撃事件で、扇動共謀罪などで服役し、トランプ大統領の恩赦で出所した極右組織プラウド・ボーイズの元幹部ら5人が6日、事件の捜査は違法だったとして、政府に1億ドル（約145億円）の損害賠償を求め、南部フロリダ州の連邦地裁に提訴した。

提訴したのは元リーダーのエンリケ・タリオ氏ら。トランプ氏が今年1月20日の就任日に恩赦などを与えた。トランプ政権は原告側と和解し、賠償金を支払う可能性がある。和解が成立すれば、民主主義を揺るがした事件の正当化や政治目的の暴力の容認につながると危惧する声が出ている。

　タリオ氏らは訴状で、バイデン前政権下の連邦捜査局（FBI）などは「合法か違法かを問わず、あらゆる手段を駆使して、原告を投獄させるという目的を達成した」とし「政治的迫害」を受けたと主張している。

タリオ氏らは、20年大統領選でトランプ氏に勝利したバイデン前大統領への平和な権力移行を阻止しようと共謀。21年1月6日にワシントンの連邦議会議事堂の周囲に人を集め、内部への乱入や警察官に対する暴力を招いたとされる。

米メディアによると、トランプ政権は5月、事件で警察官に射殺された女性の遺族が起こした訴訟で和解し、約500万ドルの支払いで合意した。