トランプ氏は同日、USスチールの本社がある米東部ペンシルベニア州ピッツバーグで演説を予定している。日鉄とUSスチールの協力による雇用創出や経済効果をアピールするものとみられる。バイデン前大統領が出した買収禁止命令を破棄し、買収を承認する大統領令に署名する方向だ。
USスチールの工場(2024年4月、米ペンシルベニア州で)=AP
協定には、米当局の許可なくUSスチールの生産能力を一定期間削減しないことや生産拠点を国外に移転しないこと、日鉄が対米外国投資委員会(CFIUS)に定期的な報告を行うことが盛り込まれる。また、USスチールの取締役の過半数と、CEO(最高経営責任者)やCFO(最高財務責任者)など重要な役職者を米国籍保有者に限定する規定も入る。
米政府は、国力の維持に欠かせない鉄鋼製品の生産減少を国家安全保障上のリスクと捉えている。協定の受け入れは、買収実現に向け、日鉄が米政府に一定の譲歩を示した格好だ。
今回の買収総額は約141億ドル(2兆円)となる。日鉄は買収完了後、USスチールの製鉄所に大規模な投資を行う方針だ。老朽化した高炉の改修などに計27億ドルを投じる計画を公表しているが、投資額を大幅に拡充して製鉄所の新設も視野に入れる。
世界鉄鋼協会によると、2023年の粗鋼生産量は、日本製鉄が世界4位の4366万トン、USスチールは24位の1575万トンだった。単純合算すると、計5941万トンとなり、中国宝武鋼鉄集団、欧州のアルセロール・ミッタルに次ぐ世界3位の鉄鋼メーカーとなる。
買収計画は、バイデン大統領(当時)が25年1月に国家安全保障上の懸念を理由に禁止命令を出した。トランプ氏も昨年の米大統領選の期間中は「私なら即座に阻止する」などと反対の意向を示していたが、大統領に就任後の4月、国家安全保障上のリスクの有無についてCFIUSに異例の再審査を指示した。
トランプ氏は今月23日、買収計画を「計画的なパートナーシップ(提携)」と呼んで承認する意向を示した。ただ、25日には「(日鉄の)部分的な所有となり、米国が支配する」と発言し、買収計画を承認する場合の条件に注目が集まっていた。
読売新聞 2025/05/31 05:00
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250530-OYT1T50200/
引用元: ・日本製鉄のUSスチール完全子会社化、トランプ政権が承認へ…米政府と「国家安全保障協定」締結 [蚤の市★]
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