今年2回目の値上げで、食料品値上げラッシュの象徴的な出来事です。『6Pチーズ』の価格から見えるインフレ加速の風景をみてみます。
■食料品値上げ「第2の波」
『6Pチーズ』の希望小売価格は、今年3月に、それまでの437円から463円に、率にして5.9%引き上げられたばかりでした。
雪印メグミルクは、28日、それを今年7月から476円に、率にしてさらに2.8%引き上げると発表しました。
その理由として会社は、原料である乳価の引き上げや、包装資材、物流コスト、さらに人件費の上昇を挙げています。特に、酪農生産者の飼料やエネルギー価格の高騰を受け、原材料費である乳価を引き上げて生産基盤を守る考えを詳しく説明し、消費者の理解を求めていています。
ただ、3月の値上げも同様の理由で、人気のナショナルブランドを短期間で2回も値上げするのは異例と言えるでしょう。実は去年、2024年には『6P』の値上げはなく、前回の値上げは2023年の4月(385円→437円)でした。
その前年の22年には2回も値上げされており、その意味では、2022年から23年にかけての値上げラッシュに次ぐ、第2の値上げラッシュが食料品の世界に押し寄せていることがうかがえます。
5月の東京都区部の消費者物価(速報)は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比3.6%もの上昇率で、インフレ加速のほとんどはコメを含めた食料品で説明がつきます。
■企業は価格転嫁に強気に
『6P』は、ゴロッとした食感で私も子供のころから慣れ親しんできました。永らく365円だった『6P』の価格に異変が生じたのは、2022年のことです。
ロシアによるウクライナ侵攻が起き、エネルギーや穀物の輸入価格が急騰し、4月には日本の消費者物価がついに2%を超えた年です。
『6P』は、22年4月にまず385円に値上げされました。そして前述のように、この年の9月には2回目の値上げに踏み切ります。ただ、2回目の値上げは、希望小売価格の変更ではなく、内容量を減少の形で行われました。
それまで108グラムだった『6P』は、102グラムと薄くなったのです。『6P』は1箱6個入り、つまり1個当たり1グラム減量したのです。減量率は5.6%で、その分、値上げされたことになります。
値上げラッシュの第1の波の頃には、こうした減量による、いわゆる『ステルス値上げ』が多くの商品で行われました。長いデフレ時代を経て、消費者の値上げへの拒否感は強く、多くの企業が、「額面価格は何度も上げられない」と感じていたからに他なりません。
しかし、今年はわずかな間に2回の値上げでも、堂々とした価格改定です。これ以上、チーズを薄くするわけにもいかなかったのかもしれませんが、企業が「消費者にも価格転嫁が受け入れられるだろう」とみていることがうかがえます。その点が、第1の波の時と大きく違うところです。
■この3年の食料品値上げの凄まじさ
それにしても改めて感じるのは、この間の価格上昇の大きさです。2022年からの3年半で『6P』は、365円から476円へと、額面価格で30%、内容量の減量を加味した実質では38%もの値上げとなりました。
毎日の食卓に上る生活必需品の上昇としては、凄まじい数字です。この間、賃金が38%も上がっていないことを考えると、実質所得の目減りの大きさがわかろうというものです。物価高対策に国民の関心が集まるのは当然です。
さて『6Pチーズ』、1954年の誕生時は170グラムあったそうです。その後、消費者の嗜好の変化や、デフレ時代の消費者の厳しい価格許容度もあって、少しずつ減量され、前述のように2022年には102グラムにまで小さくなりました。
消費者マインドがインフレ時代に本当に変化するのであれば、値上げの際に、逆に増量することがあっても良いはずです。「価格は上がるけど価値も上がっているのです」というフレーズが、アピールにもなり得るからです。
『6P』が再び大きくなる時代が、いつかはやってくるでしょうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/18d60e4a12f88a61cec34e9bbda9097a561d87f2
引用元: ・【食料品値上げラッシュ】「6Pチーズ」が今年2回目の値上げ、企業は価格転嫁に強気に
6Pスライスチーズ
これ豆な
コメント