「偏向教育」発言、撤回を　石垣市長に退職教員ら抗議決議　沖縄

公開日時 2025年05月31日 05:00
更新日時 2025年05月31日 14:57

　中山義隆石垣市長が沖縄の教育について「偏向に近い教育」などと述べた件で、県退職教職員会八重山支部（宮良純一郎支部長、会員196人）は29日、発言に抗議し撤回を求める「緊急特別決議」を発表した。24日の定期総会で採択した。市議会が可決した、外国人学校の授業料無償化制度の見直しを求める意見書に対しても「差別を助長する恥ずかしい内容だ」と批判した。

　総会では市長の発言に対して、怒りの声が相次いだという。

　市長は記者から、ひめゆりの塔や沖縄戦に関し国会議員による事実誤認の発言が続いている件を問われ、日の丸、君が代を例に挙げて「僕らは沖縄で偏向に近い教育を受けてきた」と述べた。「集団自決」（強制集団死）については軍の関与を認めつつ、「必ずしも全て日本軍が強いたものではない。自分から死にたいから手（しゅ）榴（りゅう）弾（だん）をくださいと言った人もいるだろう」と発言していた。

　八重山支部は「偏向教育」発言について、「平和主義を掲げる憲法の精神にのっとることを標（ひょう）榜（ぼう）する教育基本法の理念に反し、許されない」と訴えた。「集団自決」に関する発言については、「戦争の実相を著しくゆがめるもの」と強調。市長の一連の発言は「歴史を矮小（わいしょう）化し、事実に基づき積み重ねてきた平和教育を否定した」として撤回を求めるとした。

　平地ますみ副支部長は市長の発言に「戦後80年。（沖縄戦）風化の一つ」だと憂いた。

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