
記者会見する中国外務省の林剣報道官=30日、北京(共同)
【北京=三塚聖平】中国は、日本産水産物の輸入再開に向けた手続きを開始する方針で日本と合意した。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に伴い全面停止に踏み切ったが、中国が呼び掛けた「核汚染水」批判は国際社会に広がらず、矛を収めた。中国はトランプ米政権への対応に集中しており、味方作りの一環として日本にも歩み寄りの姿勢を見せた形だ。
「日本が約束」強調
中国外務省の林剣報道官は30日の記者会見で合意について「水産物の品質と安全性を保障し、中国の監督・管理の要求と食品安全基準を満たすことを日本が約束した」と強調した。
2023年8月の処理水放出開始を受け、中国政府は「中国の消費者の健康を守り、輸入食品の安全を確保する」として輸入停止に動いた。国際的に突出した対応であり、処理水放出を新たな「対日牽制カード」にする思惑も指摘された。
しかし、国際原子力機関(IAEA)が「国際的な安全基準に合致」と評価したこともあり、中国の訴えに同調する国はロシアや北朝鮮など一部にとどまった。中国にとっては「誤算だったとみられる」(日中関係筋)。中国メディアが「食品の汚染リスク」を強調して中国産海産物にも風評被害が及んだが、一度振り上げたこぶしの落としどころを見つけるには時間がかかった。
周辺国との関係重視
今回のタイミングでの合意となったのは、トランプ政権の存在があったとみられる。北京の外交筋が「習近平政権は現在、米国の対中圧力の打破に集中している」と指摘するように、中国はトランプ政権との対立で優位に立つべく世界各国・地域との連携強化を急いでいる。特に周辺国との関係を重視しており、日本との関係安定化へ数年来の懸案を進展させた。
加えて、今年9月には「抗日戦争勝利80年」の節目を控えており、今夏以降はこうした懸念を解消する融和姿勢を見せにくいという計算もあったとみられる。
今夏以降は歴史問題が日中関係のトゲになることが見込まれるほか、反スパイ法による日本人拘束といった大きな懸案は残っている。今後も日中関係を巡る緊張は完全には払拭できない状況が続きそうだ。
産経新聞 2025/5/30 19:29
https://www.sankei.com/article/20250530-HIR55ZWFDNMCBMWNSMI6IVPKRI/
引用元: ・「核汚染水」批判、世界に広がらず矛収める 中国「対トランプ」集中で日本にも歩み寄り [5/30] [右大臣・大ちゃん之弼★]
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